※藍染目線 ※スタークが仲間になったあたり捏造 新たに仲間にした破面は、孤独の狼とその片割れだった。 肉体と刀に分けるべき力を2つの身体に分けたその破面は、孤独から逃れる術に破面への進化を遂げたという。 その力は他の破面を退く強さだった。 十刃に入れようと思案した時、妥当な地位はどこだろうと考えていた。 妥当な場所は#8だろうか。いや。あそこはノイトラだ。ノイトラと彼等…強さは多分。彼の方が上だろう。 ならば#4か? だが#4にはウルキオラが入る。ウルキオラと彼。互いに変化球の能力を所持しているが、ウルキオラのそれはまだ未覚醒だ。ならば此処じゃない。彼はもっと上だ。 #3が妥当だろうか。 …だがネリエルと彼なら、彼の方が強い気がする。ネリエルも無論#3を名乗る強さだが、彼はきっと、それより強い。 #2か?いや、バラガンの死の息吹より、彼の孤独は大きいにちがいない。 それなら、#1か。 …ああ。それが一番調和している。 決めた。彼は#1にしよう。 孤独と言う強さを抱えた彼等にこそ、"Primera"は相応しい。 「断る。面倒くせえ」 しかし。折角十刃最強の地位を与えたというのに、まるで興味が無いように彼は切り捨てた。 「どうして?」 「俺は仲間が欲しくてあんたについて来たんだ。地位が欲しい訳じゃねえ」 孤独に怯える狼は吠える。 地位に興味はないのか。問い返せば、彼は首肯した。 なるほど。面白い子だ。 思わず笑みが零れた。 面倒くさいと呟く孤独の狼を、抱き寄せる。 「スターク。キミは孤独だ」 「…んな事わかってるよ」 「だけど、私も孤独だ」 抵抗せず、喚く訳でもなく、その狼は舌を這わせる唇を受け入れた。 舌を絡め、蜜を吸い、そして離れた唇から、彼は呆然と声音を震わす。 「…あんたも、孤独?」 「ああ。そうだ」 人並み外れた死神の力。 どれだけ仲間を集めても、その中に飛び抜けた力の辛さを判る奴など居ない。 だから私も孤独だった。 この狼に出会うまでは。 同じ飛び抜けた力を持ち、同じ孤独に心の悲鳴を上げる、強く気高く儚い狼。 初めて、本当の仲間だと思った。 この孤独を共用し、分かち合う事が出来るのではないか。 初めて期待した。 それがこの男――コヨーテ・スタークだ。 だから私は、自らに近い地位である"第1十刃"に、彼を選んだのかもしれない。 「スターク。私はキミに"Primera"になってほしい」 「…俺は」 「喜びも悲しみも、分かち合おう」 同じ孤独を、分け合おう。 「キミと私の為に」 私が満たされる為に。 「……俺、強くねーぜ」 「構わないさ。それにキミは他の破面より強い。私が保証する」 ああ。 「…良いのか?こんな奴が#1で」 「キミ以外に#1になれる破面は居ないよ」 狼が 腕の 中に。 「後悔すんなよ?」 堕ちた。 「ありがとう。スターク」 これでキミも私も、幸せになれる。 孤独を消せる。 寂しくなくなる。 キミはもう、私のモノだ。 「…名前。聞いてなかったな」 「藍染惣右介だ」 「わかった。藍染サマだな」 「様は良いよ」 「あんたボスだろ?要るだろ」 笑う男の身体をきつく抱き締め、首筋に甘噛みする。 「スターク」 大事な大事な。 私の孤独の肉親。 「愛してるよ」 キミをもう、離さない。 孤独に吊した可愛い餌を、逃がす馬鹿は居やしない。 「…ご冗談が上手ですね」 「冗談じゃないさ」 孤独の中で 永遠に、可愛がってあげよう 二度目の唇を奪い、堕ちた狼を抱いた。 01×Birth Back |