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捧げ夢
『君に誓う』【獄寺・切甘夢】☆6000Hit☆鈴菜様に捧げます
それはよく晴れた日のボンゴレ本部でのこと。

今日非番だった俺は、談話室で、コーヒーでも飲みながら、書類を片付けようとしていた。


談話室の前まで来たのはよかったが、なにやら騒がしい。


「クフフ、見てください、雲雀恭弥。このラブレターの数を!」


「…うるさい、僕に寄らないでくれる?
君なんかにラブレターを送るなんて、物好きだね…」

「…おやおや、ヤキモチですか?雲雀君?」


ブチッ


「…咬み殺す」

そう言い、トンファーを構える雲雀と、それに対峙する骸。


…いやいや、談話室内で暴れる気か、お前ら…マジで止めてくれ…10代目がお怒りになるだろう…(今は任務でいらっしゃらないが)

以前も廊下で、雲雀と骸が、闘い出して屋敷が、危うく半壊しかけたことがあった。


あの時二人を止めたのは他でもない、あのお方…現ボンゴレ10代目ボスである沢田綱吉だった。

…あの時の10代目は本気で恐かったな…


「クフフ…そういえば、雲雀君の恋話、聞いた事ないですね…ぜひ聞きたいものです…」


「…なんで僕が君なんかに話さなきゃいけないのさ…」


「少し興味を持ちましてね…雲雀君は、初恋もまだなのかどうかを…ね?クフフ…」


「…黙りなよパイナップル…今日こそ君をぐちゃぐちゃに咬み殺す…」


「…クフフ、君に出来ますかね…」


…バキッ、ガターッン


完全にバトルを始めた二人だった。


「…初恋か…」


談話室のドアに寄り掛かり呟く獄寺。


「……」





あれはまだ、俺がボンゴレファミリーに入る前のことだ。


俺はフリーの殺し屋として、一人で活動していた。


あの頃の俺は、誰にも頼ることも、誰も信じることが出来ずにいた。


そんな時、彼女に…鈴菜に出会った。


「…鈴菜」







―あれは、今から15年ぐらい前の事だ。

俺はどこのファミリーにも属していなかった。

ダイナマイトを手足のように使う俺を、【スモーキン・ボム】、他の奴らはそう呼んだ。


今思えば、あの時の俺は、自分を過信していた。

そして―…


「くそっ…あのガキどこ行った!」


「本当に逃げ足の速いガキだ…」


「だが、さっきの戦闘で、随分と派手に傷をおったはずだ。そう遠くまでは逃げられまい…」


「そうだな、ガキは見つけ次第始末しろ!」




俺は依頼で、あるファミリーのボスの暗殺を頼まれた。
あるファミリーとは、当時、密輸や薬物取引、人身売買と、ありとあらゆる悪事を働き、急成長をしていたファミリーだ。


俺はそんな汚いやり方をするファミリーが大嫌いだ。

だから俺はその依頼を引き受けた。


だが、完全に油断していた。奴らは思っていたよりも、強く、それに加えて人数も多過ぎだ。


俺はさっきの戦闘で、かなりの深手を負ってしまった。

傷ついた身体を引きずり、ここまで逃げてきたが、もう追っ手が、すぐ近くまできていた。



…俺はここで、死ぬのか…

そう思い、俺は思い瞼を閉じ、意識を失った。


………




窓から差し込む日差しに驚き、周りを見渡す。

「!…ここは…?」

なぜか俺は、豪華な部屋のベットに寝ていた。


「一体どうなってやがる……!」

その時、ピアノの音色が聞こえてきた。


俺はその音が聞こえてくる方へと歩き出した。



「…!」

そこには、ピアノを弾く一人の少女がいた。(少女といっても、俺と同じ歳くらいだが)

『…あっ、気がついたみたいですね。良かったです』
彼女は俺に気付くと、笑顔で話しかけてきた。

「…てめぇは一体…」

『私は鈴菜といいます。貴方は私の屋敷の近くで倒れていたんです。

ひどい怪我だったので、ここで治療させて頂きました。
あの…お名前聞いても、いいですか?』


「……………隼人」

『そうですか、行くところがないのでしたら、ここに居て大丈夫ですよ』

そう言って微笑む彼女。

彼女の笑顔は、とても綺麗で、目が離せない自分がいた。

行く宛てもなかった俺は、彼女の屋敷に住ませてもらった。

彼女の両親は仕事が忙しい為、屋敷には滅多に帰ってこないそうだ。

それで彼女は、この屋敷で使用人達と暮らしていた。



ここに居候をして、随分と経ったある日のことだ。

鈴菜の部屋で二人でいた時。


『…隼人、私ね…もうすぐ死ぬんだ』

「…!鈴菜…何言って…」

『…私生まれた時から凄く身体が弱くてね…だからっ
…隼人、そんな悲しい顔しないで?』

「…鈴菜」

『…隼人?』

「鈴菜…なにか願い事…あるか?」


『え…?』


「なんでもいい!俺が鈴菜の願いを叶えてやるからっ…だから…そんなこと…言うなよっ…」

『…隼人…ごめん…

……私ね、海…行きたい…』


「海…?」

『うん、私身体が弱いから、屋敷から出たことがなくて…一度でいいから海に行ってみたいの…』


「わかった…俺が鈴菜を海に連れていってやる」

『…!うん、ありがとう隼人!でも他の皆にばれたら…』

「わかってる。皆には内緒だ、二人で行こう」


そう言い、鈴菜に手を差し延べた。

彼女は少し恥ずかしそうに俺の手を握った。

「行こう、鈴菜に本物の海を見せてやる。」




それから俺と鈴菜は、屋敷の他の奴らに、ばれないように、こっそり抜け出した。




―――――

『わぁー…すごい綺麗っ…!』

海に着いた途端、鈴菜は嬉しそうに走りだす。

そんな彼女を俺は見守っていた。

『隼人!隼人も早く!』

「あんまりはしゃぎ過ぎると身体に悪いぜ…」

『うん、ありがとう』


それから俺は、はしゃぐ鈴菜と、時間も忘れて過ごした。


「そろそろ帰るか…」

『…うん、そうだね』


その帰り、二人で手を繋いで帰った。


『ありがとう、隼人。私もういつ死んでもいい…』

「何言ってんだよ!元気になってまた一緒に行こう」
『……』

「…鈴菜…っ!?顔色が…」

『大丈夫…少し、眠くなって、きた…だけだから…』
「鈴菜、しっかりしろっ…!」

段々と顔色が悪くなっていく鈴菜。

『…隼人に、お願い…聞いて欲しいことが…あるの』
「あぁ…!なんでも叶えてやるっ…」


『隼人が、心から信頼出来る人ができたら…その人と…私の分まで生きて。』

「…!」

『大丈夫、隼人にも心から…信頼できる…仲間が…出来る…』

「…俺は…」

『隼人は優しい…だから、大丈夫だよ…
…隼人と過ごした時間…凄く楽しかったよ…』

「…鈴菜っ」


『隼人…大好き…』

そして鈴菜は、深い永遠の眠りついた。


「…鈴菜っ…」

俺は大声で、声が枯れるくらい沢山泣いた。







その数年後、俺はある事件をきっかけに、当時のボンゴレの9代目ボスに拾われ、ファミリーに入った。


そして、10代目に出会い、彼に一生着いていくと決心したのだ。



「鈴菜…俺は鈴菜との誓いを守るからな…」

…鈴菜、…大好きだ

終わり!

【おまけ?】

その後

「…何やってるのかな…雲雀さん?それに骸?」

そこには任務から帰った、我らがボスが立っていた。黒い笑みとともに…

「可笑しいな…なんでこんなに屋敷がボロボロなのかな?…ねぇ、二人共?」

「「………」」

そして、ボスこと綱吉はグローブをはめ、二人の前に立った。

「…覚悟はいいか、雲雀、骸…」

…ドガーン


「……鈴菜…俺は、頑張るよ…」

今度こそ終わり!


《鈴菜様へ》
キリ番6000踏んで頂きありがとうございます!
リクエストの獄寺夢、書かせて頂きました。
予想以上に長くなってしまいました…(汗)
気に入って頂ければ幸いです。
遅くなってしまい、すみませんでした;
リクエストありがとうございました! ヒロ

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あきゅろす。
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