★なんとなくできたゆるい原作パロ。ネタ元は鋼の錬金術師のリザと大佐の会話
から。
海軍にスパイとして入って2年。
短期間ながらも大将青雉に気に入られたこともあって大尉にまで昇格した。
最も私は白ひげの一員だ。胸に刻まれた刺青と共に、永遠に。
船を離れてから一度も会っていない。父さんにも、隊のみんなにも、…マルコに
も。
ただ唯一私が安息を得る時間がある。
月にいちどだけ、深夜に掛ける報告の電話。
「…こちら、海軍G-46支部」
「'わたし,だ」
「…おつかれさまです、'大尉,…最近どうですか?」
「…特になにも。元帥がなかなか眠れなくて困っているくらいよ」
なにもということは、あったということ。眠らないということは、動きはじめて
いるということ。
「…ほう。じゃあ特上の白ワインを取り寄せましょう」
それは無理だ。
白ひげに帰ってこいというのは。
「元帥は白ワインは苦手で、飲まれないわ。それより1番とびきりの赤ワインを黒キャビアと一緒に食べるのがお好みのようよ。もうすぐ到着するわ、知っていた?」
黒髭がエースを捕らえた。もうすぐ元帥の元に連行されてくる、エースが。
「…そうかい。それは知らなかったよい」
…何が'よい,だ。
これでもうこの回線は使えなくなるだろう。賢いマルコのことだ、使える電話線
も限られていることを分かっているだろうに。
「…急用ができたわ。暫く電話には出れないと思って」
盗聴されている。暫く報告の連絡はできそうにない。
「…御武運を」
どうか無事で。
がちゃり。
月にいちどの繋がりが途絶えた。これからは忙しくなるだろう。
じりりりり。
「…もしもし?」
「元帥に伝えてくれ。赤ワインは元帥には似合わない。辛い白ワインのほうがお
似合いだから今から届けにいく、と」
…エースは渡さない。必ず取り返しにいく。
「…分かったわ。…御武運を」
がちゃり。
戦いの火蓋は切って落とされた。
fin.
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