[携帯モード] [URL送信]
告白

今日は
どこまででも
飛んでいけそうな、
真っ青な空だ、
水平線と
区別がつかない程の。

今日は
あいつの誕生日だ。
夏生まれにふさわしい、
今日の天気のようなあいつの。


「あっ、マルコ」

…おはよう。
…どうしたの?

部屋の扉から
顔を覗かせる彼女に、
壁に背を持たせ、
腕を組んで平静を装う。
ふふふ、
と彼女は笑って、
らしくないね、
俺にと投げ掛ける。


「今日は、
日中空いてるんだ。
ちょっと付きあえよい」

「あら、
それは嬉しいなあ。
だけど、今日は
おとーさんから
'お使い'を
頼まれているんだわ」

知ってる。
だから、お前の仕事は
もう済ませてきた。
親父も今日は自由に過ごせと、さ。


…気が利くのね、マルコ、
…らしくないわ。


少し驚いた様子は
すぐに消え、
からかう言葉とは
裏腹に、
嬉しそうな顔を
隠しきれていない。


どこに行くの?


…お前が望むなら、
どこへでも。


…こんな言葉を
さらっと
言っておきながら、
ポーカーフェイスなところ、
むかつくわ。



廊下を、俺に一歩遅れて歩く
彼女から投げ掛けられる。



…一緒に空を飛んでみたい。



更に投げ掛けられた言葉に、
ふいに立ち止まって、
後ろを振り向く。



「俺もそうしたいと思ってた」


お前が
生まれてきたことを祝うのに、
俺にしか出来ないことをしたい

だから、
船からじゃ
手に届かない青空を、

君に贈る。


fin.


[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!