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その優しさの半分は、

ずきんずきんずきんずきんいたい、いたいいたい、頭が痛い。二日酔いでもないのに頭が痛い。…ああ、そうか、雨だ、雨が降るぞ。まるで天気予報士みたいだなあ。雨が降ることしか予報出来ないけど。空が泣きたいのに泣けないでいる、瞳から零れる寸前で歯を食いしばっているみたいだ。ほんとのところは知らないが、雨が降る前の低気圧が私の頭を押し付けているに、違いない。昔は平気だったのになあ、これはおかあさん譲りだな、こりゃ。私もちょっと年をとったのだろうか。


…やばい、耐えられそうにない。くすり、薬欲しい。あ、今日船医さんもナースさんも出掛けてる。…サッチ、サッチに言えばもらえるかな。ひとまず食堂に行ってみよう。

「ん?名無し、頭痛てぇのか、え?頭痛薬?わりぃ、俺偏頭痛持ちじゃねぇからな、もってねぇよバファリン、あ、エース、お前バファリン持ってねぇ?あ?バファリンだよ、バファリン。半分は優しさで出来てるっていうやつ。…は?
お前?お前がバファリン?……なに、お前の半分は優しさで出来てるからとかいいてぇのかよ?ぷぷ。名無し、お前エースを服用しろよ、あ、お前冗談だよ、冗談。エース、名無しに薬持ってきてやれよ」


「サッチ薄情だな。名無し、水と薬持ってきてやるから部屋で待ってろ。ああ、気にすんな。ちゃんと寝てろよ」


ふうっ。よかった。ひとまずなんとかなりそうだ。横になっとけばよくなるかな。…あれ?机の上に、コップと薬?エース仕事はやい。いや、いやいや待てよ、 医務室はここから結構遠いし、いくら足が速いエースでも流石に追い付けるわけない。……誰だろ。あ、このコップ、昔マルコにあげたやつだ。薄い蒼色の透明なコップ。不死鳥マルコそっくり。……ん?なんか頭痛いの治ってきた。あ、そうか、バファリンの半分はマルコで出来てるんだ、だってこんなにさりげなく優しいんだもん。…あ、エース。わざわざありがとう。…立ってて大丈夫かって?うん、みんなの優しさのおかげでだいぶんよくなった。私は幸せ者だね。…え?今更?ふふ、そうだね、今更かもね。


この優しさの
半分は


きみ





ありがとう。


thanx: バファリン


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