不本意ながら、愛してます



「陛下、仕事してくださいよ」
「してるだろう、お、ガイラルディアみてくれ、これよく飛ぶだろう」
「それ大切な書類じゃないですか!」
何してるんですか、とガイが急いで紙飛行機となったその書類を取り上げて折り目を元に戻す。ああこれ今日までのじゃないか。ぐしゃぐしゃになったその紙に焦ったのだが事の原因は楽しそうにもうひとつ紙飛行機を作り始めた。
「ほれ、ガイラルディア、捕まえてみろ」
「だー、陛下!」
ぽーい、と宙に投げられた紙飛行機は歪な曲線を描いて宙を舞った、が、直ぐにガイの手へと収まった。ああこれも今日までのだ。
「陛下、本当にいい加減に仕事してください」
「小さい頃学ばんかったか、遊ぶことも勉強なんだぞ」
「一体何歳のつもりなんですか!」
其れ以上ふざけるとジェイド呼びますからね、と告げれば嫌そうに顔を歪めて陛下は非難の声を上げた。酷い、それは勘弁しろ、だの聞こえた気がしたが敢えて無視を決め込んだ。
ジェイドもだが、この人もこの人で口が達者なのだ。(時にはジェイドだって負かすのだから相当なもんである)(悪く言えば悪知恵が働くというかなんというか、だが)下手に話をしていて上手く逃げられたら怒られるのは自分である、間違いなく。
大体、甘やかしすぎだとこの間ジェイドに怒られたばっかりだった。
「ガイラルディアー」
「駄目です、仕事してください」
「阿呆、けち」
「何とでもいってください、ほらこれが今日までのです」
どさ、と軽く音が鳴る位に積み込まれた書類にピオニーは更に悲鳴をあげる。無理だ、と足をばたつかせてる姿に頭が痛くなった。(というか自業自得だろうこの皇帝。)
「陛下なら出来るでしょう」
「無理、お、あ、そうそう今日は風邪気味だから頭が重くて」
「医者でも呼びましょうか」
「いやいらん、ちょっと休ませろ」
「無理です」
それでは、俺はこれで失礼しますから。そういって扉へと向かう。ああそう言えばジェイドが仕事を手伝ってくれ、とか言っていた気がする。
これから執務室まで向かおうと計画を立てて扉の取っ手に手を伸ばした。ら、後ろから抱き込まれた。
「陛下」
「どこにも行くな」
「それは無理ですよ」
肩に顎を乗っけられて不機嫌な声で我が儘をいう皇帝に苦笑が漏れた。こっちにだって仕事や予定ってものがあるのに(けれども陛下の我が儘な命令の方が重いのかもしれない)
「陛下、」
「ん」
「愛してますよ」
「ん」
満足そうにキスを仕掛けてくるピオニーの好きにさせる。ふと視界の隅に映った書類にさてどうしようか、と少しだけ頭を悩ませた。



不本意ながら、愛してます
結局自分は甘いんだ
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