I am a girl !

!)ガイが女の子です




女性であることは損であるようにガイは思っていた。力を欲した事は多分にあった。其の度に女性と男性との違いに気付かされ嗚呼何と不自由なと自身の身体を呪った。ぎりり、と爪を立てれば痛いと感じるこの感覚に差は無いと云うのに如何してこうも差が出るものなのであろうか。舌打ちすれば女の子がと叱られるのであろうか。
然しそんな事等はどうでも良かった。

良くないのは目の前でひらひらとフリルを沢山に使われたワンピースを広げる男が居ることだ。然も二人も。何をしているのか、と問うて見た。嗚呼到頭に頭迄いかれてしまったのであろうか、或いは女装癖か。冷たい目で男らを見れば見てわからんかと返される。分かりません、否分かりたく無いのだろうか。目の前の光景を信じたくない余りに自身は逃避を始めたのだろうか。男の浪漫だよな、と隣の男に語り掛ける長い金糸を持った男は其の他にも沢山にあった女性用の服を選んでいる。そうですねと返事を返した軍人である男がこちらへと歩み寄るのを恐ろしいカウントダウンの様にさえ感じた。

「陛下の趣味です」
「やっぱり、」

女装癖が、と口元に手を宛てて後ろへと一歩下がれば何を言っているのだと不思議がられる。此等の中にはジェイド好みだって混じっているだろう、其の声に嗚呼矢張りジェイドもかと思い目を向ければ不快ですと笑われた。

「勘違いしているようですけど」
「全部ガイラルディアのだからな」

二人掛かりで告げられた言葉に予測していた内の最もに最悪な事態なのだと理解する。俺に女装癖はありませんと言えばお前は女だろうと笑われた。間違いではないが然しどうにも納得したくない。

「貴族に戻った訳だし、こういう格好をするべきじゃないのかと思ってな」

勝手に選ばせて貰ったぞ、と一つの服を手に取った、陛下の、手のなかにあるのは恐らくには陛下の好みなのであろう白いワンピースがそこにあって。
さああ、と血の気が引く。あれを誰が着るのか、自分が、冗談ではない、と。
陛下のお気持ちは嬉しいですが、そうか嬉しかったか、善かったなジェイド、そうですね、ああもう話が通じない。
女性として生きる事が今更に自分に出来るとは思えなかった。サラシで巻いているにしろ膨らみを増してくる女性としての身体をどれ程に恨んだ事か。
決して生まれた事は後悔していないが然しガルディオス家の跡取りとして、復讐者として誓った身にそれは難しい話ではあった。そもそもに自分では何れは女性として子を孕まなくてはいけない事は分かってはいたのだが、それはまだ先の事であると思っていた。
だからこそに女性として生きるのは整理がついてからと思っていたと云うのに。
目の前に広がる女性服(然も全てがスカートとはどういう嫌がらせだ)にくらりと目眩がする。「ガイラルディアなら何でも似合うな」と笑われたってどうやって考えても男に女装しろと言っているようにしか聞こえない自分の耳が可笑しいのだろうか。

「陛下、ジェイド」
「なんだ」
「何でしょう」
「その、無理です」

はっきりに伝えてしまおうと無理だと云うも聞く耳等持たぬこの男共は勝手に話を進めていく。其のスカート短くありませんか、いやぁミニスカは浪漫だろいあの見えそうで見えないのがなんとも、はははーオヤジですねぇ、お前が言えたことか。
既については行けなくなっている会話にどうにかしなくてはと名前を呼べば矢張りに優しい笑みを浮かべて二人は振り向くのだ。ほっとして無理だともう一度告げようとすれば陛下の人差し指がガイを指す。

「皇帝勅命」

着ろ、と。笑顔で告げた男に突っ掛かる元気等無かった。
(横暴だ)
(あんまりだ)



I am a girl !

38℃の欲槽


ガイに女の子らしくして貰いたいジェイドと陛下。というより好きな子に可愛い格好をしてもらいたい陛下とジェイド。
今回の話では女性である事を悔いてはいますが、男らしいだけで女性である事を悔いて無いのも好きです。こっちも何れ書いてみたいです。






あきゅろす。
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