メープルシュガーをくださいな



何時から好きなのかは分からないが然しそれが恋であることをルークは気付いていた。
目の前で風呂上がりの其の人を見て欲情してしまうぐらいには確かな恋心に小さく舌打ちをする。ああ面倒な相手に恋に落ちていることぐらいは認識している。相手はあの天然たらしだ(だが決して自分はたらし込まれたわけじゃない)
気付いたら好きであったのだ。一番近くに居た錯覚からなのか等と考える頭等は無かったが然しそれが恋である以上悩ましいもの以外の何物でも無かった。
好きだと思った。それが答えであった。
ミルクの瓶を手にとって飲むかと聞いてきたガイに否定すればお前、ミルク駄目だからなぁと笑われる。別にミルクを飲まなかったからといって背が伸びないなんて事はないだろうし気にしない(つもりだ)(そもそもオリジナルが悪いんだ)(アッシュはミルク飲めるくせに背が低いじゃないか)
何時ものスパッツに上半身にシャツを羽織っただけの其の姿をじいと見てこれじゃまるで変態じゃないかと視線を逸らす。特にガイは気にはならなかったのだろう。直ぐに飲み干された空の瓶を机の上へと置いて、髪をわしゃわしゃと拭いている。水を含むとしなっとする其の髪に触りたくなった。(だからといって触れるわけないだろう!)

「ルークも風呂入ってきたらどうだ」

其の声にあーうんと適当に返事を返す。ご主人様入るですのー、と嬉しそうに鳴く聖獣に煩いと言いながらもちゃんと持ち上げてやる。入ろうかと腰を上げて浴場へと向かえば後ろからガイに肩まで浸かれよ、と注意された。

(子供扱いかよ)
(まじで勘弁しろって)



メープルシュガーをくださいな(あまく甘くとろける海に、わたしを連れて堕ちてみて



いっそ、好きだと言ってみれば変わるのかも知れないが(それもそれで怖くて仕方ないと言ってしまえば笑われるだろうか)

ああ、この恋は厄介だ、
(気付け、馬鹿野郎)


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