甘党ホメオスタシス
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ジェイド×女の子ガイ


折角に女性として生まれたのだから御洒落とかしてみたいと思わないんですか。
立ち寄った町を適当にぶらついて綺麗に着飾った女性と擦れ違った瞬間に問われた質問に、ガイは隣を歩く男の表情を伺った。男は柔らかな笑みを浮かべて問いかけていた、如何なんですかと問われた内容はガイにとって優しくはないものであったが。
「別に、思わないぜ」
女性はひらひらと真白なスカートを靡かせて人ごみの中へと消えていく。光に反射してルビーが光ったのも女性の煌びやかな美しさを引き立てていた。ああ、あの赤はジェイドの眼の色だ。消えていく背中を視界の隅に押しやってガイはジェイドへと向き直る。だがあの宝石よりもジェイドの瞳の方が何倍も美しいと思う。
「ああいうのは似合う人が着るべきだよ、俺が着ちゃ駄目さ」
今更スカートなんて着てしまったら似合わなさと違和感で腹が捩れそうだ、と笑えば残念ですとジェイドは下を向いた。決して似合うとお世辞を言わないジェイドをガイは酷く気に入っていた。どうせここで似合う等と嘘を吐かれても信じる気など皆無であったが、それでも言われない事に越したことはない。
すれ違う女性たちの香水の匂いや、美しい装飾に、自分が夢見たことはないのかと言えば嘘になるだろう。だが、其れよりも何よりも、刀を振るう自身には必要のないものであった。21になった今更にあのように美しい彼女達のようになりたいか等と問われても、無理であるという答えがすぐさまに過る位には自身が女らしくない事位は理解していた。
「寧ろジェイドの方が似合うんじゃないか」
「ガーイ、そんなこと言ってると無理やり着せますよ」
「わ、悪かった」
視線を横に逸らせば、店の窓に映る自身の姿を気にしている女性が目に入る。手櫛で髪を梳き直す女性のなんと可愛いらしい事だろうか。微笑ましさに口元が緩めば、隣の男が苦笑した。
「一度でいいので、可愛らしい格好をした貴方を見てみたいんですがね」
「ははは、気持ち悪いって」
考えたくもない、と否定して視線を隣へと戻す。男の眼は相変わらずに優しかった。

「まあ、何れは綺麗なドレスを贈りますよ、そうですね、」
純白の、とでもいえば伝わるでしょうか。にっこりとと告げられた言葉に思わず赤面してしまった。馬鹿じゃないか。





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