ただれる皮膚の温度を記憶して



生暖かい部屋の中、抱き締め合うだとか、触れ合うだとか馬鹿みたいじゃないか。それならば今の自分は酷く馬鹿なのだろう。否、馬鹿なのはこの男であろうか。
広くもなくかといって狭いわけでもないソファーの上、向かい合う様に座ってキスを繰り返す。触れるだけのそれから次第に深く交わる様なそれに、薄く開いた口端からつうっ、と唾液が零れた。それはどちらのものであったのだろうか。ぎゅっと抱き寄せた首筋はじんわりと汗ばんで長い亜麻色の髪が張りついていてそれすらが色っぽい。はっ、はっ、と苦しい息遣い、頬を汗が伝ったのがぼんやりと分かった。或いは麻痺しているのであろうか、感覚が。
そうだ、窓を開ければこの熱気から逃れれるのであろうか。けれどもじわじわと感覚を無くしていく指先が、男のそれと絡んで、それすらも出来ない。
狂った様にキスを繰り返して、そうして脳が融けてく感覚に目を閉じた。ああ、熱い。



ただれる皮膚の温度を記憶して



あきゅろす。
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