The game is up.





「逃げないんですか」
「、逃がしてくれない癖によくいう」
気が付いた時には既に壁際に追い込まれていた。
ジェイドの長い腕が逃がさないというように左右を閉じる檻のようにして壁に押し付けたれていて、自分はまさにその腕の中なのだとガイは自覚した。

話し合いをしていたのだ、それこそ軽い。
ベッドの上で剣を磨きながらガイはジェイドの話に適当に相槌を打っていた、それがそもそもいけなかったのだろう、背中に人の重みを感じた時には既に今この状態であった。

(逃げないんですか、じゃない、逃げれないんだ!)
ずしり、とかけられる体重を支えるのも大変なのだが、それよりも脇腹を撫でる手の方が気になって仕方なかった。
どういうつもりだ、と聞けばさあどういうつもりでしょう、と笑って返された。その直後、冷たい掌が直接腹を撫でたものだから、ぎょ、とした。
「ジェイド!」
シャツのボタンを外して、上へ上へと撫であげる掌を掴んで後ろのジェイドへと振りむいた。平然とした顔がそこにあって、どうしたんですか、と軽く笑い返されてガイはそれに少し恐怖を覚えた。
ジェイド、もう一度名前を呼ぶ。同じように返事が返されて、掌がまた肌を撫でた。
このままじゃいけない、と思って軽く体を捻る。抜け出そうと床に足をつけようとしてぐ、と引っ張られた。
「逃がしませんよ」
ぐい、と顔を掴まれて唇が触れる。唇に。突然のことに吃驚して開いていた口の中へとぬめりを帯びた舌が入り込んできて、それで好き勝手に蠢く。
その行動の意味に気付いて、唇の放れた瞬間、ガイはジェイドの肩を思いっきり突き返した。
「何考えてるんだ!」
苦しい呼吸を落ち着かせるよりも先にガイは訴えた。
「わかりませんか、まさか知らないなんてことはないでしょう」
「そうじゃない!そういうことはあんたのこと好きな女性にして貰えよ!」
ガイはその行為をしたことは無けれどもその意味を知っていた。
自分とジェイドは恋仲ではないし、その上愛人でもない。
ふざけてる、そういって睨み返すガイにジェイドはもう一度キスをした、途端ガイの平手がジェイドの頬を打った。ぱぁん、乾いた音が部屋に響く。

「何で俺にするんだ!」
俺じゃないだろう、と続けるガイの言葉は恐らくジェイドの耳へは入っていなかった。揺れた視界を直ぐに戻して、ジェイドはガイの背中を押してベッドへと押しつける。ぎしり、ベッドが鳴いた。
「何で、ですか」
小さくジェイドは吐き捨てる。全体重をガイの背中へと掛けてしまえば、ガイは苦しそうにくの字に曲げられた動かし難い体で小さな抵抗をするぐらいだった。

「好きだからですよ」
告げられた言葉にガイは体を強張らせる。わかっていたでしょう、と笑うジェイドの言葉にすべての抵抗を失われた気がした。


「観念してください」



The game is up.
Smacker



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