ハニーをご馳走して



「ガイのカレーって人参入ってないよな」

スプーンをグーの手で行儀悪く持っているルークを叱るティアの言葉を交わしつつ、ぽしょりと呟かれた言葉にガイはああ、と頷いた。今日の晩御飯はガイ手製のカレーであった。もちろん人参の姿など何処にも無かった。赤というよりはオレンジのその物体を見かけないことにルークは安堵と喜びがあった。へへ、だからガイのカレーって大好きだ、とにっこりと笑うルークにガイもにっこりと笑い返す。そうか、嬉しいな。それにアニス辺りが親馬鹿じゃない、と嘆いたのと、ティアが実は安堵しているのにはジェイド以外は気付いていなかったのだが。

「そういえばルークのだけ人参を避けているわけじゃなくて、人参を最初から入れてないんですわよね」

そういって納得するナタリアにすまないな、とガイは謝った。いいって俺すっげぇ嬉しいもん、と満面の笑みで喜びを露わにするルークにアニスが好き嫌いがあるとかわけわかんないんですけど、と不満を口にした。そういえば異常にルークの好き嫌いは多い。多すぎるのだ。
かちゃかちゃと食器とスプーンが思いっきりに打つかって音を上げる。美味しい、とルークが幸せそうに顔を歪めるのを、ガイはまた幸せそうに見るのだ。
本当に親子なんじゃないとふざけたアニスに微笑ましいですわ、とナタリアが喜ぶ。ティアも心なしか嬉しそうにカレーを口に運んでいるなか、ジェイドだけは事の真相を知って一人楽しがっていたのだが。

(ガイがカレーに人参摩り下ろして入れているの、知ってるのは私だけですかね)


ハニーをご馳走して

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