僕は青色しか染まれない



髪飾りを弄りながら書類へと目を通す。癖なのだろうか。人差し指と親指で摘まれた髪飾りは綺麗な青色であった。透ける様な青色であった。ぐりぐりとふたつの指に挟まれて揺れる、漸くに解放されたと思ったら、頁を捲った指先は又元へと戻って、弄るのだ。綺麗な然し男らしさを魅せる其の指に摘まれてそうしてガイは矢張り癖なのだろうと思った。

癖ですか、何がだ、髪を弄る事です、ああ此れか。

指を放してピオニーは微苦笑した。癖なのかもしれん、とピオニーは人差し指で宙にくるくると円を描く様に回した。ああ、いかんな。然し愉しそうにピオニーは笑って、髪飾りをぴん、と指先で突いたのだ。

「綺麗な青色ですね」
「そうだろう」

自信満々に言ってのけた所を見れば気に入っているのだろう。きらりと光った其の青色は綺麗であった。何か大切な物なのかも知れないとも思ったが、知ろうとは思わなかった。聞こうとも思わなかったのだ。聞かれる事を嫌がる人もいるから、と言うのは明らかな言い訳ではあったのだが。
反してピオニーはもう一度指先で髪飾りより上の自身の髪を摘んで揺らして魅せる。青色と云ったらお前の目の色も綺麗だと思うぞと一笑したものだから、ガイは自身の緑色にも見える其の青色をぱちぱちと瞬きをしては隠したのだ。

「ありがとうございます」

お礼を云えばゆうるりと口元が弧を描く、ピオニーの其の瞳の色も綺麗だとガイは思ったのだ。
陛下の青色も好きですよ。
そうして漸くに一笑したガイにピオニーも又哄笑したのだ。



僕は青色しか染まれな
彗星03号は落下した



あきゅろす。
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