きっと何時か偽星に咲く



焼きたてのキャロットパンを頬張ればほかほかとした暖かさと旨味が其処にある。咀嚼して美味しいですよと目の前の青年に声を掛ければそれは良かったと笑われた。キャロットパンは青年の手作りであった。ルークなら人参が嫌いだし食べれないなと青年、ガイは笑った。それを素直に勿体ないと感じたのはそれだけこのキャロットパンが美味しかったからだろうか。オレンジ色の粒が覗く其のパンをひとちぎりしてもう一度口へと含む。水分が取られていくような其の感覚でさえ煩わしいとは思わなかった。
何故、キャロットパンなのか。問えばあんた好きそうだったからと笑われた。然し自分はそれを好きだと言った覚えはないし、こういうパンを食べた事だってあまりには無かった。人参だって特別好きだというわけではない。そう言えばルークだけじゃなくてティアも人参が嫌いであった事を思い出して懐かしくなった。必死に口の中へと含んで嫌そうに歪んだ顔は忘れられそうには無かった。
そうしてもうひとちぎりして、口の中へと放り込む。傍に置いてあったホットミルクを啜って、そうして飲み込む。ああ、美味しい。昼食の代わりにと持って来られた其のパンは実は二つ目であった。美味しいです、ガイ。そう言えば矢張りガイは嬉しそうに笑うのだ。

「ああほら、あんたに似合うからさ」


きっと何時か偽星に咲

ジェイドの赤い目=うさぎの目

にやり




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