愛は微睡みの中に心中す



ジェイド。

名前を呼ばれてはっとする。目の前には心配そうに顔を覗かせるガイと、手元には読みかけの分厚い本があった。ぼんやりとしていた思考が瞬間だけ働いて、ああ寝ていたのだと気付いた時には、ガイの表情は苦笑いのそれであった。
あんたがうたた寝とはねぇ、と苦笑して、ガイが持っていた毛布を肩に掛けてくれた。ありがとうございます、どういたしまして。其のやり取りの後、眠たかったら寝たほうがいいぜ、と向かいの席へとガイが腰を下ろした。
眠たかったら。
確かに自分は少々どころか、確かな眠気があった。そして幸いシャワーはもう浴びていた。
そうさせて戴きますね、と腰を上げて、椅子から立ち上がる。机の上へと本を置き、栞を挟む、そしてぱたんと閉じる。歩きだして少し、真っ白なベッドの上へと腰掛けて、柔らかく、ベッドは自身の重みを吸収した。そして布団の中へと入る。
お休みなさい、と声を掛ければ、顔を上げたガイが柔らかく一笑してああお休み、と返した。
そうして目を閉じれば遣って来るはずの眠気を待つ事にした。したが、何か少し寂しいと感じた。それが何故なのかわからなかったが、然し確かに寂しい。
ガイ、名前を呼んで手を伸ばせば、不思議そうに、きょとんとした顔を見せたガイが立ち上がってこちらへと向かう。一歩一歩。手を伸ばされる。どうした、ジェイド、と。そうして其の伸ばされた手を掴んで引っ張って布団の中へと誘導してやる。ジェイド、と焦った声は無視をしてやった。
そうして抱き寄せたガイの身体にジェイドは漸くに淋しさを埋める事が出来た。
もう一度、お休みなさい、と呟いて重い瞼を閉じれば、俺は抱き枕かよ、とそれでも嬉しそうな彼の声が聞こえて、それで、真っ暗な世界へと自分は消えたのだ。



愛は微睡みの中に心中
にやり




あきゅろす。
無料HPエムペ!