ピンヒールで宇宙を蹴飛ばす



「それじゃあ、ルーク様、お休みなさい」

赤毛の頭を一撫でして、ガイはすっと一歩後ろへと下がる。何故だろうか、何時も通りのそれが妙に淋しかった。
そうして同じく何時も通りにお休みなさいと告げて去ろうとするガイをルークは必死に呼び止めた。だめだ、帰っちゃやだ。子供の駄々にガイは苦笑してもう一度、ルークの頭へと手を置いた。ルーク、お休みの時間だぞ、と。
そうして慰めるように何度も何度も頭を撫でられるが一向に眠気などやっては来なかった。

寝てしまえばガイはこの部屋から出ていってしまう。

それが嫌で嫌で、撫で続けるガイの手へと手を伸ばす。ぎゅう、とその手を抱いて、何度目かのだめ、という駄々を捏ねればガイは矢張り困った様に笑うだけであった。

「ガイぃ、や、いっしょにいて」

12歳にしては幼稚なその言い種にそれでもガイは馬鹿にはしなかった。ただ、困ったと視線を反らして、ガイはルークの手を優しく握り返した。ぐいぐい、と手を引っ張ってみてもガイが動く訳でもなく。然し、ふんわりと優しくルークを抱き寄せて背中をとんとんと一定のリズムで叩いた。とんとんとんとん。寝かし付けようとしているのだろう、そのリズムに、幾らかは安心を覚えた。
そうして、ガイが逃げない様にとぎゅうとガイの服を握って胸元へと顔を埋める。幼稚な、ルークのそれに漸くガイは観念したようにルークへと何処にも行かないよと一笑した。



ピンヒールで宇宙を蹴飛ば
にやり



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