指先に灯る熱を知ったか



じんわりと染みる体温にガイは冷たいと呟いた。ジェイドの真っ赤な指先を両手で覆って、そうして温めてやる。ジェイドの冷たい体温が自分に移ってくるのを受け入れて、じんわりと、熱を取り戻すジェイドの指先にそっと息を吹きかけた。その息は対照的に白い。真っ赤な指先が掌の中でされるがままにしている。ガイはジェイドを窺い見れば、ジェイドはただじいとその手を見ていた。冷たいですか、と問われて慣れた、と笑ってやれば漸くにジェイドも少しだけ口元を緩めた。
手の冷たい人は心が温かいとかそんな話を聞いた事もあった。そうやって思い出してジェイドとそれを照らし合わせては子供のような(若しくは女性のような)考えにガイは苦笑する。ジェイドの指先へともう一度息を吹きかけて、掌で摩ってやる。掌の冷たい人が優しい人であるならば、逆に掌の暖かい人は悪い人なのか、と馬鹿にした事もあった。今の自分のような。手の暖かい自分は悪い人に当てはまるのだと思えば可笑しくて笑えてきた。ああ、間違いじゃないのかもしれない。そういえばルークの手も子供体温だろうか、暖かいのを思い出す。寒がりなルークは今は宿屋の一室で毛布に包まりながら恐らくはミュウと会話でもしているのだろう。そうして暖かくなってしまえば、すやすやと眠りこけるのだ。そう思い、ジェイドへと視線を戻して笑いかけてやる。ルークは寝ていると思うかい。問えば、案外大の字で寝ているかもしれませんよと柔らかい笑みと共に返された。
そうして暫く、感覚が戻ってきましたとジェイドが呟いたのにガイはほっ、と安心した。指先は先ほどよりは少し白味を帯びてきたようには思えた。




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