meidenhair tree



「旦那、何してるんだい」
「ガイを独り占めしようかと」

ぎゅうと背後から抱き締められているこの状況では確認しがたいが然し恐らくは男は満面の笑みを浮かべているだろうことは分かった。楽しいか、と問えば楽しいですよ、と帰ってくる、ああ何が楽しいんだ。
先程迄はおとなしく(という言い方は間違いなのであろうが)本を読んでいた筈のジェイドが今何故こういう事をしているのかが全くに分からなかった。
或いは、甘えたいのだろうか。そうやって考えれば最近は仕事が忙しくて中々に恋人らしい時間を取れて無かった事を思い出す。何だ、このおっさんも可愛いじゃないか。ぷ、と吹き出してしまえば如何しましたかと問われたから何でもないと返した。
(ああ、なんだなんだ)
そういうことか、と納得すれば思考は軽くなる。是で集中出来ると目の前の音機関へと手を伸ばす事にした、

かぷ。

が、耳に噛み付かれてひい、と声を上げる。音機関に向かう筈だった手は噛まれた耳を庇うようにして覆う。な、な、何してんだジェイド。問えば、さあ何でしょうと笑われた。

「美味しそうだと思ったので」

駄目でした、と首を傾げたジェイドに気持ち悪いと吐き捨てる。

ああ、ああ、如何して。
(本当に何がしたいんだこのおっさんは!)





ジェイドは音機関に構ってばっかりのガイの邪魔がしたかっただけです。ただの嫉妬です。
joy


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!