少年A或る夜の星屑を拾う



「旦那、どうだい」

差し出された薄紫の包みに入っていたのは色とりどりの金平糖であった、それを見るのは久しくて思わず懐かしいと口に出せばあんまり見ないよな、と青年も同意した。どうやら自分だけでは無かったらしい。聞けば店で買い物をした際にオマケとして貰ったらしいそれは成る程子供用お菓子のそれに近い。もう21なんだけどな、と苦笑する青年に貰えるならいいじゃないですかと笑ってやればそりゃな、と納得した後に食べるかいと問うて来たものだから食べますよと返す。
一粒摘んでみて小さな砂糖の塊である濁った白色を口に放り込む。がり、歯で噛めば直ぐ様砕けた。甘い様で甘くない様な不思議な味のそれを数回噛むことに因って完璧に粉々する、飲み込んでしまえばそれは呆気なかった。次いでもう一粒口に含み噛み砕く。

「美味しいかい」
「ええ、」

それなりには美味しかった。
ぼりぼりと音を立てて次へ次へと飲み込む。赤、紫、白、黄。色んな色のそれは女性であれば可愛いと見て楽しむのかも知れないが生憎自分は女性では無いためにそういう思考は持てなかった。
コーヒーに入れても美味しいらしいぜ。青年の、ガイの言葉にああそういう使い途も有ることを知った。今度試して見ますね、ガイは嬉しそうに笑った。ああ、試して見てくれ。
黒い水の中に溶けていく欠片は何程に綺麗だろうか。砕けていく、星屑に似たそれを味わいながら目の前の青年の目の青に似た色を取る。其の青をじい、と見てああほら似てますよとガイへと渡せば、分からないときょとんとした青年に笑いが零れた。


「私の星です」


少年A或る夜
の星屑を拾う


にやり




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