彼女のキスは人工的な苺味
!:ガイが女の子です。





「それ、どうしたんですか」
そういってジェイドの指差したのはガイの手の中にあるリップクリームだった。
赤い色に包まれた円筒のそれをガイはこれかい、と見せる。ええそれです、とジェイドが言えば、これティアから貰ったんだ、とガイは蓋を開けた。
「唇がかさついてね、痛かったんだ」
「そうですか」
それを唇をなぞる様にしてゆっくり塗っていく。それをじっと見つめてジェイドは珍しいですね、と零した。
ガイは口紅をしない。
だからこそ、其れを塗るような仕草をするときも見ることはなかった。(一緒に寝起きしたときでも、朝支度するガイを後目にみているときでも)
そうかい?これでもリップクリームぐらいならたまに塗ってるんだが。
そう返事をするガイに、あなたは自分のことに無頓着すぎるんですよ、とジェイドはガイの髪を一束掬い上げた。
そういえば初めて会ったときはガイの髪が長かったのを思い出す。
それは確か似合わない、と理由で切られたのも覚えている。
ふにゃりと笑って、そう告げた彼女にあの綺麗な金髪は似合っていたのに、(ショートヘアーにした彼女もそれはそれで酷く可愛らしいけれども)
「好きですよ」
告げたその言葉にガイは知ってる、と照れたように返した。
柔らかなその身体を抱いて、唇を寄せる。
それは酷く甘い、フルーツの味がした。


彼女のキスは人工的な苺味
それさえも愛おしい。

にやり


女体の意味はあったのか。



あきゅろす。
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