貴方は可愛い、可愛い




「ふ、ぅん」
「ああガイ、おはようございます」
「ん、旦那?」
目が覚めて目の前にジェイドの顔があることに気づく。ふぁあ、と欠伸をすれば頬に軽いキスを落とされてもう一度おはようございます、とジェイドは言った。ああおはよう、ガイもそれに返す。
真剣に昨日の記憶がなくて(正確にいえば昨日の夜の記憶なのだが)あれ、いつの間に寝たんだっけ、と視線を横にずらせば、テーブルと床の上に数本ある酒瓶に視線が行く。ああ、飲んだのか、なんて思ってもやはり記憶なんてない。記憶の代わりにがんがん、と鈍い痛みが頭を支配していることから飲んだことは多分明らかなのだが。
「旦那が運んでくれたのか」
テーブルのあるあそこからここベッドの上まで。
恐らくそうなのであろう。それは当たりで「ええまあ」と返された返事に申し訳なさが生まれる。
悪いな、とジェイドに謝れば構いませんよと返された。
「私にも非がありますし」
だからおあいこです、とジェイドは水をコップへと注いだ。はいどうぞ、と渡された水を受け取って先ほどの言葉の意味を聞けばにっこりと笑われた。

「酔った貴方を美味しく頂こうと思ったんですが、寝顔があんまりにも可愛かったのでやめました」
「な、」
勿論冗談じゃありませんよ、とくすくすと笑うジェイドに、今度から気をつけようと心に決めた。


貴方は可愛い、可愛い
(でも少し残念だなんて)
(思ってやらない)



あきゅろす。
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