触れたいと願い愛されたいと叫ぶ





「触りたいって思うのは欲なんでしょうね、やはり」
ガイの膝の上に頭を乗っけていたジェイドが幸せそうに瞼を閉じた後、そうぽつりと呟いた。
「欲、というよりかは多分当たり前の感情じゃないのかい」
「おや、じゃあガイは常に私に触れたいと思っているんですね、いやー嬉しい限りです」
「なんでそういう風にとるんだよおっさん」
ベッド脇の小さなテーブルに乗せられていたコップを手に取ってガイは中のコーヒーを啜る。はあ、と小さく息を吐くガイにあなたこそ少しおじさん化してませんか、とジェイドがからかえば、やめてくれ、と嫌そうに顔を歪めた。それこそ若い頃から苦労を買って出たガイはやはり歳相応というよりは少し落ち着いていて、それをガイ自身も少しは意識しているのだろう、良い意味ではなく。やはり老けてるのかな、そう言って前髪を弄るガイに老けてるわけじゃないでしょう、とジェイドが言えば、それでも納得はしてないのか、苦笑をして弄っていた手をジェイドの頭の上に置いた。話を戻すけど、そう前置きしてガイはもう一度コーヒーを啜る。
「なんでいきなりそんなこと思ったんだ」
「ガイに触れたかったからです」
楽しそうに笑うジェイドにからかうな、と怒れば、本心ですよ、とやはり楽しそうに笑う。納得いかないとガイがジェイドの眼を見やれば、ジェイドは閉じていた瞼を開けてガイへと手を伸ばした。
「貴方と遇ってからそういう欲が出てしまったのでしょうね」
伸ばされた手はガイの後頭部へと回される。少し力を入れただけで近づくガイの顔にジェイドは自分でも気づかないうちに口元を緩めた。

触れるか触れないかの優しいキスをして御馳走様ですと悪戯ににっこりと笑えば、ガイは持ってたコーヒーカップをジェイドの顔の上に持っていき、零してもいいか、と少しカップを傾けた。その頬が僅かながらに朱色に染まっていて、ああ可愛らしい人ですね、と思う。いやですねー熱いのはごめんですよ、そうにっこりと笑えば、はぁ、と小さいため息の後、コーヒーカップはテーブルの上へと戻された、途端。
押しつけるだけの、それでも先ほどよりは長いキスをガイが仕掛けた。ガイからの珍しいキスに驚いて呆然としていれば、唇が離れた直後、ガイが勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

「触りたい、んじゃなかったのかい」
そういって笑うガイにしてやられたと思いながらも、ああそれでもこれもこれでいいのかもしれない、とジェイドは思う。
貴方が誘ったんですからね、しりませんよ。にっこりと笑ってもう一度引き寄せた唇が触れる間際、小さく好きですよ、と呟いた。



(触れたいと願い愛されたいと叫ぶ感情 とか)



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