アリスインワンダーランド 7 チェシャ猫の唇が 優しく重なった。 アリスは驚きのあまり、 目を閉じることも忘れていた。 「アリス…目を閉じて」 チェシャ猫は唇を僅かに離し、 親密そうにささやいた。 「いっ…嫌! チェシャが無理やり…」 チェシャ猫は再び、 アリスの唇をふさいだ。 そして 自分も目を開き、至近距離で アリスの瞳を覗き込んだ。 (きれいな色の瞳… すいこまれそうで怖いぐらい…) なぜか、目が離せなかった。 アリスはくらくらして、 自然と頬を上気させる。 見つめ合う2人の間に ピン、と張る緊張感。 チェシャ猫の冷たいくちびるに 自分のくちびるの熱が、 じんわりとうつっていくのを アリスは感じていた。 [*back][next#] [戻る] |