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アベミハ社会人シリーズ
3)



「終わり終わり〜!
じゃ帰るわ、遅くなるとアイツ怒るから!」

「おう、お疲れ〜」

「お、お疲れ様っ、田島君」

「お先っす!」



田島は二人に挨拶すると同時に、猛ダッシュでオフィスを後にした。



「オレだったら、幼馴染みと同じ会社ってヤだな」



泉が田島の席を見ながら呟く。



「そ、なの?」

「例えば、腐れ縁の浜田なんかがここにいたら、オレは即刻派遣先を変えてもらうね」

「田島君は、嬉しそうだ よね」

「アイツは、学校のダチといる感覚なんだろうな」



まだ子供だしな、と言いながら泉はパソコンに視線を戻した。
小休止の終わりだ。

三橋はその後少しだけ残業をしていたが、阿部が戻ってくる気配もないので諦めて席を立った。



「げっ、三橋もう終わり?」

「あ、なんか手伝おう か?」

「その言葉すっげ嬉しいんだけど、人に分けらんない仕事なんだよなぁ。
良いよ、先に帰ってて。
サンキューな」

「ううん、じゃお先 に」

「アイツが帰ってきたら『三橋が泣きながら帰ってました』って言っとくよ」

「えっ?!ちょっ…、い、いい泉君っ!」

「ハハッ、冗談!お疲れ〜」



泉は手を軽く振って、三橋を送った。





「三橋、何かあったの?」

「うぉっ。もう!びっくりすんなぁ!」



仕事に戻そうとした意識を叶に無理矢理引き剥がされ、泉は無性に腹が立った。



「気になんなら、自分で聞けばいいだろっ」

「アイツすぐ気ィ遣うから、聞いたって言わねぇよ」

「言わねぇんなら大したことないんだろ!」

「そんなわけないだろ、かなり沈んでるみたいだったし」
お前こそダチのクセに気になんないのか?白状だな」



叶の語尾に思い切り机をこぶしで叩く音が重なる。



「何も分かってねェお気楽KY色ボケ野郎に話すことなんてないんだよ!
あ〜〜〜〜っっ、テメェのせいで集中力が完全に切れたじゃねぇか!!
用がそんだけなら、さっさとあっちへ行け!!!」



あまりの泉の剣幕に驚いた叶は、言われた意味の半分も考える余裕も無く、そそくさと退散した。



「次やったら、ぜってぇ派遣元にクレーム言って、上司に報告してもらうかんな!!」



その背中を更に蹴り飛ばし、そう罵りたかった泉だが、さすがに周囲の視線が注がれていることを配慮し、乱暴に片づけをしながら心中で呪っていた。






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あきゅろす。
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