tale
no fun,no life
いつもの帰り道、いつものメンバー。
そして、空腹を凌ぐ為、時々足を運ぶコンビニ。
今日はアイスを二つ買おうって、心に決めていた。
―no fun,no life―
「お前、バカ?」
店を出て一声がソレですか、泉…。
「え?何?何が?」
「うん、バカだな」
ちょっ…、田島には言われたくないんですけど?!
「え〜っ、何がバカなんだよ!」
「バカ過ぎてわかんねェみたいだな」
お前の言葉には時折殺意が沸くぜ、阿部……。
「でも水谷、それはさすがにマズくないかなぁ?」
栄口が遠慮がちに言う。
やっぱ、優しいなぁ栄口は。
栄口が指したのは、オレの両手にあるアイス。
そう、今朝から絶対に買うと決めていた、コーン付のバニラソフトとソーダバー。
「大丈夫!
オレ、3年間腹壊さねェよ!!」
栄口に最高の笑顔で答えた直後、背後から阿部の回し蹴りを食らう。
イッテェ〜!!!
アイス落としかけただろ!
自分は言いたい放題のクセに…。
「あ、み、み、…とけ 」
「ん?」
三橋、何言いたいの?
「一度に二つも開けたら、アイスが溶けるよって心配してんだよ」
またもや、栄口の優しいフォロー。
ああ。
なんだぁ、皆そんなこと心配してたわけ?
でも、これだけは譲れない。
朝からずっと楽しみにしてたんだから!
「大丈夫だよ〜。
どっちもすぐに食べちゃうから!
あ、三橋一口食う?」
オレの誘惑に三橋は目を輝かせたが、直ぐさま安部に取り押さえられた。
「お前も買ってんじゃねェか!
それだけにしとけ」
「別に良いじゃんよ、一口くらい」
オレがぶいぶい言うと、すごい目で睨んできた。
「うちのエースにバカが移る」
え〜っ?!
オレ、三橋よりはバカじゃないと思ってたのに!!!
「なんだよ、もう!
阿部には金輪際な〜んもあげないもん!」
「こっちから願い下げだぜ」
「何でも良いから早く食えよ!
本当に溶けてきてっぞ!!」
最後は、言い出しっぺの泉になぜか叱られた。
理不尽だなぁ。
まぁ、良いや。
大好きなアイスを二つ一度に食べられるんだから。
好きなモノ食べて、皆と下らない話をして笑って、腹も心も満たす。
そうして、
また明日も思い切り楽しもう―。
070928 up
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