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novel
異変
「やぁヘンリー、お疲れ様!今日この後みんなで呑むんだけどさ、一緒にどうだい?」
帰る支度をしていた私を同僚が誘ってくれた
その好意はとても有り難いのだが…
「悪いが…直ぐに帰らないと行けなくて」
誘いを断るのはもう、かれこれ十数回目になる
自分でも流石に付き合いが悪すぎるのは分かっているが…帰らなくては行けない理由がある以上断るほか無い
「やけに付き合いが悪くなったな…」
不満そうな彼に苦笑いするしかない私
そんな私を見て彼は「あ!」と声をあげた
「もしかしなくても…女だな!?恋人が出来たんだろう!くそぅ、悔しいなぁ…とっとと帰っちまえぃ!」
半分笑いながら彼は私をどつき、耳打ちする
「今度、紹介しろよな!」

…残念ながら、相手は女性ではないし紹介する気もない…
こうして私はいつも通り帰路につくのだ

「お帰り、ヘンリー」
家に帰り、出迎えてくれるのは綺麗な女性ではなく男だ
「…ただいま」
いつも帰ると彼が飛びついてくるので、カバンを丁度顔の位置にタイミング良く持ち上げると
見事に彼の顔面にカバンがめり込む
「…ヘンリー、照れ屋さんめ」
自分
の良いように解釈するのは彼の特技とも言える

ビーッ ビーッ
突然チャイムが鳴った
ドアスコープを覗くとそこには、いつかの男が立っている
扉を開くと、うつむき加減だった男の顔がゆっくりと上を向いた
「302号室のヘンリー・タウンゼントさん」
「貴方はこの前の…あ、取りあえずどうぞ中へ」

時計の秒針の音がやけに大きく聞こえる気がした
招き入れたものの沈黙が続いている
ウォルターは私の隣に腰を掛けて目をギラギラとさせ
私に「こいつは何なのか」と無言で聞いている
それは私も知りたいところだ
「私はジェイムス・サンダーランド。ここの管理人の息子です」
突然口を開きポツリポツリと話始めた
そう言えば、前に管理人から、サイレントヒルに行ったきり息子夫婦が行方不明になったと聞いたことがある
「ずっとサイレントヒルの町に住んでいたんですがね、新しいパートナーが出来たんで戻ってきたんですよ」
成る程、恐らく詳細は妻と父とが不仲で姿をくらましていたというところだろう
「それで、隣の301号室にパートナーが越してくるので私がまず挨拶をと思いましてね」
隣にいたウォルターも腑に落ちたらしい
いつものやらしい笑みを漏らす
「それでは、挨拶だけですがよろしくお願いします」
そう、丁寧に頭を下げてジェイムスは出て行った

「ヘンリーあれはお前の仲間だぞ」
玄関の戸が閉まった後にポツリとウォルターが呟いた
「どういう事だ?」
「それより、今日のディナーは何だ?餓死しそうだ」
もう死んでいるくせに、辛そうな顔をしてみせる
「挽肉が安かったからハンバーグだ。好きだろ?」
「ハンバーグか…水牢に居た頃を思い出す」
「…思い出さなくていいから…」
こうして今日もいつものように夜が更けていった

後書き

サウスアッシュフィールドハイツ只今サイレントヒル化計画進行中
ある意味の侵食ですよね(笑)
パートナーはやっぱりあの人ですよ!ジェムさんを拉致った人!(ぐふふふふ by.ロビー君)

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