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novel
青いコート
いろんな事があって同居人を迎えることになった
同居人はウォルター・サリバン
つい先程まで執拗なまでに私を追い回し殺して21の秘跡を成し遂げようとしていた人物である

彼が、あまりにも可哀想で…
彼を知る度に私の中で彼への思いが変わっていた
どうにかして救うことは出来ないのだろうか?
21の秘跡を成し遂げて彼が得られるモノは本当の幸せなのだろうか?
そんなことはないはずだ、思い切って問いかけた
私が君を幸せにすることは出来ないだろうか?と

「ヘンリー来たよ。約束だ私を愛してくれ」
21の秘跡の中止の代わりに私と彼とが交わした契約
私が彼のモノとなり愛を与えるというモノ

丁寧に玄関からやって来た彼は満面の笑みを浮かべて覆い被さる様に抱きついてきた
臭い

…もの凄い悪臭がする!
思わず彼をはね除けてしまう
その瞬間の彼の顔、突き放されて一瞬のうちに絶望に染まる
「…ヘンリー…約束は嘘か?お前も私を拒絶するのだな」
その顔は絶望から怒りに染まり、部屋に血と錆が滲み出す
「ち、違うそうじゃなくて…ウォルター!臭いぞ!
そのいつも着てるコート、洗ってないだろ!!」
浸食の速度が遅くなった
「仕方ないだろう」
彼はキョトンとしている
「まさかとは思うが…一着しか持ってないのか!?」
彼は笑った
「持っていたよ」
過去形だ!!

「何だヘンリー、急かすな。ベッドルームに行ってからでも遅くはないだろう?」
「いいから脱ぐんだウォルター」
悪臭を放つ青いコートを脱がす、まとわりつく彼と強烈な臭いに耐えながらコートのファスナーを一気に下へと下げた 露わになったのは生肌…
「何故下に何も着てないんだ…まさかとは思うが他の衣類も…」
彼は何も言わずに、にっこりと微笑んだ
「今着ているものを全て脱げ!!」

「犬や猫とは違うぞ?ヘンリー」
私でさえ座ると狭いと感じる浴槽に私よりも体の大きな男が膝を抱えて座っている
浴槽にお湯をはりながら、ボディーソープとスポンジで彼の背を擦ると浴槽の湯は、瞬く間に茶色く濁った
「ヘンリー、そんなに擦ると剥けてしまう」
彼は笑って言うが擦った部分は赤くなっている
このくらい擦らないと私が安心できない
「背中は洗ったから、前を洗ってくれないか?出来るだろう」
スポンジを渡すと彼は素直に体を洗い始めた
今度はくすんだ髪に湯をかけてシャンプーで丁寧に洗ってやる
やはり、茶色に…というか、泡立つことすらない…
「…何がこんなに…」
HAHAHAHA…「主に返り血だろう」
私に銃を向けるときに上げるあの高笑いが漏れる
出来れば二度と聞きたくなかった笑い声だ

1時間程かけて洗い上がったウォルターは驚くほどキレイになった
(違いが分かる程汚れていたと思うとウンザリする)
まだらだった綺麗な金髪はダークブロンドに姿を変え
薄汚れていた肌も白さを取り戻した
服の方は…まだ乾燥機の中で回っている

困った
あまりの臭さに、後先考えずに彼の衣類を洗濯してしまった
彼の着るものがない…
素っ裸のまま彼は隠すこともしないで堂々と目の前に立っている

私の服を着せるのは怖いので(色々な意味で)
取りあえず、バスローブを羽織らせた
…丈が少し足りなくてミニスカートの様で気色が悪いが
乾燥機が止まるまでの辛抱だ

すっかり疲れた私は疲れを癒す為にコーヒーを注いでソファーに座った
彼も、のそのそと私の方へ近づいてくる
座るのかと思ったが彼は立ったまま私を見下ろして静かに甘えるような声で私を呼ぶ
「ヘンリー」
コーヒーを机に置いて彼を見上げると、頬を優しく撫でられる
「ヘンリー」
再び甘い声を出し頬にあった手はゆっくりと下へと滑る
「なっ何を!」
「私を刺激したのはお前だよ。それに…約束だ」
彼はにっこりと微笑んでみせるが目が笑っていない
「ちょっと待ってくれ!私は確かに幸せにすると愛を教えるとも言ったが、それは隣人愛や家族の愛のような物で…」
「私は最初から恋人としての愛情を求めていたよ」
ソファーに超人的な力で押し倒されて身動きが取れなくなってしまった
「や、やめ!誰か助けてくれ!!ウォルター!」

ぷぷっ…
アイリーンの部屋が覗ける小さな穴から笑い声が聞こえた
…まさか、そこにいるのか?アイリーン
「ウォルター!ダメだリビングは絶対にダメだ!!」
抵抗する私に無邪気な声で彼は答える
「Msガルビンは、私の仲間だよ。諦めろ」


後書き

初夜v
ヘンリーの思っていた愛とヲルターの思っていた愛は大きく違っていたようで、彼の受難は終わることを知らないです
ヲルはコートの下は裸です(変態の醍醐味やね)
そんでもって凄い臭いと思います(生臭い?)
入浴シーンが書きたかったとです(すんません)

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あきゅろす。
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