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novel
Watch−T(ヲルター視点)
彼が寝静まる頃、私は一人愛しい人を呼ぶ
「ママ・・・」
リビングの中央で呼んでみるが勿論、返事は返らない
ママの中をゆっくり歩く、ママを驚かさない様に
毎日少しずつだがママの中に変化がある
ここに住むヘンリー・タウンゼントの生活の跡だ
「ママ・・・ヘンリー・・・」
彼を見ることが私の楽しみとかして2年

彼は最近になってやっと私の存在を
感じ取る様になった
私が寝室に行こうとノブに手を掛けると
決まって彼は目を覚ましてしまうのだ
彼は初めは私の存在を確かめに来たが、彼の居る世界と少しずれた世界に居る私をその目で確認することは
叶わない
彼は私の直ぐ目の前で顔を顰めて辺りを見渡していた

私は、いつでもその部屋に居た
部屋の中ではヘンリーの直ぐ側に居たが
昼間は世界が夜よりも遠く離れる為気づかれる事なんて考えられなかったのに
ここ最近はどうにもおかしく
世界がとても近くに存在しているようである

その日の朝も私はヘンリーと並んでTVを見ていた
するとヘンリーの首が前にゆっくりと倒れていくので
その顔を眺めようと彼の前に回り込んだ
すると、彼は目を開き一瞬だが確かに私と目が合った

彼は驚きのあまりコーヒーをぶちまけて
大声で叫んでいた
彼が私を目にとらえたのは一瞬だけで直ぐに世界はずれ、私を見失っていた

出勤の時刻になって彼が部屋を後にする
私はいつもの様に玄関で見送っていた
扉が開くと外から空気の流れが入ってくる
彼はそれに驚いて部屋を飛び出し鍵をかけた

だからドアスコープを覗いて扉越しに
「ヘンリー、行ってらっしゃい」
声をかけてみた


後書き

今度はヲルターの視点からです
ヲルターはヘンリーが気になって気になって仕方ないんですよ!一途な想い(歪んでいても)大好きですv

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