4





「……………ねぇ。」





声をかけるとびっくりした様子。
声かけろって言ったのはアンタじゃん。





「どうかしたの?何かあった?怪我?」


「……………ここ、何処。」


「私の家だけど…」


「そうじゃなくて、国の話。」


「日本だけど?」


「武田の領地?」


「……………………東京。」


「は?」





ぐっ、布の前まで腕を引かれる。
何を見ても驚かないか、と聞かれ、
多少の事なら驚かないけど、と返す。


シャッ、と音を立てて開けると、
さんさんと光が差し込み、





「な………にこれ……………」





辺り一面灰色の町。
空は霞み、木も殆ど無い。





「……………アンタやっぱり忍…?」


「だから違うってば。幻覚だと思う?」


「……自分の目は信じたいけど…」










「……………ねぇ、君ってさ、
もしかしてもしかすると忍者?」


「………………なら、何。」


「この世界には忍は居ないんだ。」


「………今ここに居るじゃない。」


「そうじゃなくて…今の時代には。」


「今の、時代……」


「つまり、時空間移動をしてきたのさ。」





時空間移動………
つまり、今俺は元居た時代とは
全く違う時代に居る、と言う事…?





「…………そんな馬鹿な事、」


「今、君はソレをした。
それ以外、考えられないでしょ?」


「…………」





見た事も無いカラクリが多い。
外の景色も見た事無いし、服も違う。
窓を開けると空気が汚くて噎せた。


確かに違う時代なのかも知れないけど。










「…………ねぇ、アンタ名前は?」


「ん?…………苗字名前。」


「……………そう。」


「貴方は?」


「………猿飛佐助。」


「っ、猿飛、佐助…………」


「今は…」


「…貴方が生きた時代より、遥かに先。」


「未来?」


「うん。」


「…………一つ聞いて良い?」


「何?」


「…………………………」


「ん?」


「今って、平和?」


「…………うん。戦も無いよ。
まだ殺しとかはあるけど、平和。」


「戦は終ったのに?」


「…………人間は、馬鹿だから…」


「……………そう。」





俯いた顔は良く見えない。
顔を上げた時には既に笑顔で。





「お腹、すいてない?」


「え?」


「佐助の口に合うかは分からないけど。」


「……………ねぇ、」


「ん?」


「俺、武器持ってるんだよ?」


「ん?うん。」


「警戒とか、しない訳?」


「うーん…」





腕を組んで悩む姿は、
何処からどう見ても馬鹿。





「まぁ、今殺された所で後悔は無いよ。」


「は?」


「あ、でも佐助が生きらんなくなるな…
それは困るから、やっぱり嫌かも…ね。」


「……………馬鹿じゃないの。」


「そうかもね。」





そう言ってクスリ、と笑うと、
部屋の奥に行ってしまった。










-


あきゅろす。
無料HPエムペ!