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瞼を閉じたらさようなら
奥の手とか


未だ、浪士はこれといった有力な情報を吐かない。

…なかなかしぶといね


土方副長が五寸釘と蝋燭を持って拷問牢に入ってからあと30秒で10分になる。…あっ、あと25秒!

泣く子も黙る鬼の副長だ。あんなへなちょこなんか瞬殺だろうと思ったのに苦戦しているみたい。


すると。ガラッと拷問牢の扉が開いて上着を右肩に乗せた副長が暗闇から出てきた。
私を見ると首を横に振って、明らかに不機嫌そう。


「ちょっと休憩な。なかなか折れねェ…根性のある野郎だ。…総悟は何処だ?」
「私が代わりましょうか?」
「お前が?無理だろ」
「ちょっ!!やってみないと分かんないですよ」
「…ほォ、じゃあ任せるわ」


よし、見てろよ!
絶対吐かせてやるんだから!

すると俺ぁ疲れた、とか言いながら
副長は煙草を咥えて私に背を向けた。


あれ 見ててくれないの


「ちょっと、レディに何かあったらどうすんの!スタンバっててくださいよ」
「……。真選組にレディは居ません」
「いるよ!ここに居るよ!!」
「うるせぇな、5分だけな」


ぐっと親指を立ててみせたら副長ったら呆れたように煙草の煙を吐いて。すごいストイック。


「おら、さっさと行ってこい」


副長にドッと背中を押されて質素な拷問部屋に押し込まれた。

標的は奥の方の柱に簡易に縄で縛られていて俯いていて、逃げ出す気も失せたのか顔面蒼白で。

そりゃ副長が直々に聴取したから…


さて、と。


「高杉とズバリどんな関係なの?」
「……」


「…お前…」
"マスコミかよ"

聞き慣れた突っ込みが。


「って…あっ副長。え、ちょ…一体どうしたんですか?」
「どうしたんですかも糞もねぇよ、それ最早拷問じゃねーし」


振り向けば部屋の入口には怒りマークを顔に浮かべた副長が立っていた。


「心配しなくて大丈夫ですよ」
「すげー心配だわボケ!」


だって、拷問とか初めてだし。

小さく呟いたつもりだったけど聞こえてたらしく副長はそうか、と息詰まる。

すると副長が私の肩を掴んでグイと押しのけてきて、浪士の正面に躍り出た。


「仕方ねぇ…よーく見とけ、」

なんという…
いつに無いドス黒オーラなわけで。




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