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斑雪
失って有り難みを知る


コンコン、と襖を叩く


「入れ、」

低く沈んだ声が帰ってきた

……怒ってる


「失礼します」


襖を開くと直ぐ目の前に土方さんが仁王立ちしていてばっちりと目が合った


まずい、殺されそう

やっと近藤さんと沖田さんのハグ地獄から抜け出したのに


「…目は」

「は、はい?」

「お前の目は…」


土方さんの瞳孔が更に開いて私は思わずギョッとする


「目はどこだ…」


土方さんの右手が私の右目に触れる

正確には

右目があった場所


その手は小刻みに震えていて。


まるでガラス細工に触れるかのように優しく触る


「スミマセン…」


痛い

心が

心配かけたくないからって山崎さんに無理を言って口止めした


逆に心配かけてた

私のバカ、バカバカ


「……が…よォ」

「え…っ?」

「帰ってこねーんじゃねェかと思った…」


そうして土方さんは私の左目から溢れた涙を拭った


「泣くな。弱虫…」

「土方さんだって…泣いてるじゃん。…弱虫!」


充血した土方さんの目

少しだけ腫れぼったくて、


「お、俺ァ泣いてねェ。泣き虫は燐だけだ!」

「違うもん、目が痛くて泣いたんだもーん」


互いの腫れた目を指差して笑う



幸せ


私はあなたが好きなのかもしれない







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