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小説
【突撃健康診断@】
第2都市下級市民街南区というのが、俺達の言う“南区”の正式名称だ。

自警団が頑張ってるからか犯罪は少ないし、他の区と比べたら平和そのもの。滝丸の旦那いわく“中級市民街”というわけだ。

さて、南区の住人に「困った時に頼る人は誰か」と聞くと、七名が上位にあがる。

まず取締役の滝丸の旦那と、自警団団長の灰神楽。

正式に市の役職というのもあるけど、やっぱり実績が凄い。ただ灰神楽は子供受けが非常に悪いから教師としては頼られてないらしい。

次にあがるのが天原仙里、つまりは仙だ。

魔術具職人だってのより、優秀な魔術師だからってのが大きい。下級市民街は防御壁ギリギリにあるのもあって、火に関することはだいたい仙のとこに集まる。

その次が俺。

運び屋は半分くらい何でも屋だから、滝丸の旦那に相談するほどでもないって困り事は俺に集まる。

子供らとかヤンチャ入ってる奴らに頼られてんのは、宴と月雅の二人。

俺より新参者なわけだけど、二人とも半ば南区の未成年代表みたくなっている。…月雅が未成年なのかは微妙だけど。

でも、誰をあげても二番目に必ず名前が出るのは陣内響歌。

滝丸の旦那相手に怯むどころか勢い勝ちして診療所を開き、南区の住人を病や怪我から救っている。

ホットコーヒーやら辞書やら投げる癖はどうかと思うが、陣内先生ってのは本当に頼れる人だと俺も思う。

☆…☆…☆

「こうなったら蜂でも仙でも誰でもいいから結婚しちゃいなさい」
「先生そりゃねーわ」

さすがに宴も絶句している。

都市渡り歩いていろいろ体験してるだろうに、陣内先生にかかってはそれも無意味らしい。

「だいたい一回食べれればいいほうなんて…」
「だーかーらー。そっからいきなり話飛びすぎですって」
「そうだよ、いきなり結婚とかないって」
「生活安定させるにはそれが一番手っ取り早いの」
「…言っちゃったよ」

まあ確かに宴は綱渡り生活。
本当に困ると俺やら月雅やらの夕食時に押し掛けてきたりもする。

下級市民街では1日食べないってのも当たり前だったりもするけど、先生は上級市民だし驚くわな。

「誰にする?」
「だ、誰って…」
「仙が意外とオススメよ。家は持ってるし収入は安定してるし」

先生がいろいろ本気だ。

「そして奥さんを大事にすると見たわ」
「あ、そりゃ確かに」
「蜂まで何言ってんだい!」
「次は灰神楽ね」
「首にならねーもんな、公務員」
「仙と蜂は身体壊したら終わりだからね」
「じゃあ月雅は完全に範中外?」
「というか月雅は自分で男だ女だって言わないからわからないじゃない」
「確かに。てか収入安定で家あって首にならねーってなら滝丸の旦那でも…」
「二人とも盛り上がらない! …先生、なるべくちゃんと食べる努力するから勘弁して」

あらそう? と先生は笑って、栄養剤を処方した。

「そんじゃ先生、俺もこれで…」
「次は灰神楽ね」
「…まだやんの?」

☆…☆…☆

続く

「そういや月雅が灰神楽手伝ってるかも」
「あらそう。じゃあいっぺんにすませちゃいましょ」

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あきゅろす。
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