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こねことおおかみ/完結
胸中でうごめく
▽▽▽▽▽


進路希望調査

提出期限は着々と迫っていた。


「若者たちよ。悩むだけ悩め。だがちゃんと提出しろよー」
 

武下の声に悲鳴をあげるクラスメイトも数人。



既に進路を決めた宗昭と亮平に対し


未だ提出することが出来ない凛と馨












凛は

自分のなかで蠢く
もやもやと不安を

宗昭との距離を埋めることで消そうとしていた。


宗昭の行くとこ行くとこへついて行き
教室でも部屋の中でも触れていないと落ち着かなく

夜は宗昭がいないと眠れない。





馨は馨で

よく笑い はしゃぎ
亮平のいじりに真っ赤になって抗っていたが

それもよく見れば空元気で

「かおるちゃん〜?」

「・・・・・・あ、何?」


ぼーっと考え事をしていることが多く

「ちょ、聞いてた!?」

「あー聞いてた聞いてた。で、何?」

「ひどっ」















いつもと同じ



だけど



いつもとは違う


違和感のある雰囲気が4人を渦巻いているのは確かで



それでも






知らない感情への怯え


伝える勇気のなさ





見つからない言葉


失いたくない笑顔














どうすればいいかなんて



分からなかった



















凛の甘えと不安は直結している。

分かっていても無理に聞き出すことなど出来ない

まして、凛ですら、自分の感情を掴みきれていないのだ。



「むーくん、だっこ」

「ぎゅーってして」

「むーくん・・・えっちしよ」







凛なりの不安を解決しようとしているのだろうと

宗昭はただそれに優しく応え

そしてまたすがるように眠る凛を抱きしめて眠るのだ。























不安を隠せない凛と違い


馨は見事に笑顔を作り上げる



「亮平、帰ろっか」

「喜んで〜っ!」


















自分に向けられるこの笑顔が






消えるのが怖いから


<*わんにゃん#>

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