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こねことおおかみ/完結
3




「そういえばクラスの子達が騒いでいましたね。進路希望を武下先生に提出しないといけないとか」


「うん。タケちゃんせんせがムキムキしてた。まだ誰も出さないのはどういうこったー!って」





「(ムキムキ・・・)そうですか。皆さん悩まれているようですね。涼宮くんはもう進学先は決めてあるのですか?」



「・・・・進学先?」



岩倉の言葉に顔を上げる凛。

きょとんと言っているような目に見上げられた岩倉は先ほどの自分の言葉に付け加える。


「いえ、涼宮くんは首席だと聞いていましたのでてっきり進学予定なのかと・・・・・違うのですか?」


「進学・・・・」


初めて聞きました、といわんばかりの表情に岩倉も少し驚く。


「おや、他に何かやりたいことでもあるのですか?」




「・・・・・やりたい、こと・・・ううん、特にない」






そう言うと、今度は考え込むように俯いてしまった凛に岩倉は苦笑いを浮かべる。




「・・・まぁ、そう悩まずに自分に素直になればいいと思いますよ。何が一番涼宮くんにとって譲れないものなのか、楽しいのか。そんなことからでいいんです。
 首席というのも立派な才能です。それだけの努力が出来る涼宮くんなら、きっと何だって挑戦出来ますよ」



そっと頭を撫でる手に、凛はありがとうと呟いた。




「それでは、涼宮くんの譲れないものは何かありますか?」

「むーくん」

「おや・・・・」



綺麗な笑顔で言い切った凛に優しく微笑み返した岩倉。
その笑顔がだんだんと寂しさを含んだものへ変化していき、凛はどうしたの?と心配そうに見上げる。


「いえ、それだけ大切に想える相手がいるのはいいことです」

「うん、大切だよ」




「そうですか・・・では、いろいろと大変ですね・・・」

「・・・どうして?」



岩倉は言いにくそうに口を開く


「・・・高校を卒業するというのはとても大切な節目です。そこから社会に出る人もいれば、進学する人もいる。道はひとりひとり違うのです」

「・・・・・・・・」

「涼宮くんと柚羅くんのようにお互いの気持ちを尊重し合えていけば大丈夫でしょう。けれど、私の学生時代も、進学や就職などの進路の違いから、恋人との関係が変わってしまった友人も多くいましたから・・・」


「・・・・そう、なの?」


「あぁ、そんな悲しそうな顔をしないでください。すみません。不安にさせるつもりはなかったのですよ・・・」






迷子のように見上げる凛に、なにかあればいつでも相談してください。と言い残し、岩倉は仕事へと戻って行ったが






凛はしばらくそこから動くことが出来なかった。

<*わんにゃん#>

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あきゅろす。
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