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こねことおおかみ/完結
3









「一度、その夢の話を市村くんにしてみてはいかがですか?」

「・・・亮平に?」



「言葉に出すことで、自分の気持ちや考えもより鮮明に見えてきたりするものです。

 なにより、これは君の将来のことですが、





 どうやら君だけの問題ではなさそうなので」

















▽▽▽▽▽






「あら〜かおるちゃん〜、夜這い?」

「うるさい」


何度引き帰そうか。
部屋の前であーだこーだと散々悩んだ末、

どうにでもなれ!と馨は亮平の部屋のチャイムを鳴らした。







壮一と話をして


ちゃんと亮平にも 




自分の気持ちを聞いて欲しいと思ったのだ。









「コーヒーどうぞ」

「・・・さんきゅ」


手渡されたそれはいつも変わらぬ馨好みの味で


いつかの勉強会が思い出された。






あの頃はただの友人だったのだけれど。


それが・・・こんな存在になってるんだから、人生分かんねぇな。と、

馨に笑みがこぼれる。



「なぁにー?一人で微笑んじゃって。や〜らしー」

「ばっ・・・お、お前のことなんか思い出してねぇし!」

「墓穴だよかおるちゃん・・・誘ってんの?」


ちなみに馨はお風呂に入ってからここへ来ている。

それは二人の間でお泊りの暗黙の了解みたいなものでもあるため、誘っているという亮平の認識も無理もない。









「あ、あのさ!」

「ん〜?」

コーヒーを盾に、まだ変な空気にならないうちに声をあげる馨。


「ほら、タケちゃんが言ってたじゃん?あれ、おまえどうした?」

「あれって何〜?」

「提出しろって言われただろ?」



「あー進路なんちゃらってやつ・・・?」

「そう!」


甘い雰囲気に持ち込むのを失敗した亮平はめんどくさそうな顔をしながらも答えてくれるようだ。

そんな亮平を馨はコーヒーを啜りながら目で追う


「タケちゃんがさーお前は数学のセンスがあるから、つーかそれしかないから?

 そっちに進め!つってさーなんかそんな感じになったんだよね。今んとこ。
 んまぁ俺もその方がいいと思ってたし、いいかなって〜」


数学嫌いじゃないしね?


「そ、そうなのか・・・・そうだよな」

なんとなく予想はついていた。
数学がからっきしの馨はテストのたびに亮平にお世話になっていたが、苦手な馨にも感じられるくらい、亮平は数学の思考回路の働きが凄いのだ。

その思考センスがもっと他のことに回らなかったのか・・・などと少し失礼なことは口に出さない。






「かおるちゃんはやっぱ美術でしょ?」

「あ・・・うん、そう」

「だよね〜」

最初の話のきっかけとして亮平の話題を出したが、馨が今日ここに来た目的はまさにそれ。
なかなか自分では言い出せなかったが、亮平が持ち出してくれてよかった。





このタイミングしかない。












俺の話をしたら

こいつはどんな顔するんだろう










「あ、・・・・あのさ」









「あーぁ。そしたらかおるちゃんは芸術学部か〜」






「え・・・・」




「学部が離れちゃうとさーやっぱ寂しいよね。授業なんて絶対内容違うし。

 でもさ、同じキャンパス内で待ち合わせデートとかも逆にあり?



 それもいっかぁ〜。こればっかりはしょうがないしねー。俺美術の才能ないし。馨ちゃんの数学は壊滅的だし」


「・・・・・・・・」









「まぁでも授業に紛れ込むとか?ばれるかな・・・いや、なんとか・・・って、かおるちゃんどったの?

 え、数学壊滅的って言ったから怒った?ごめんね」

「・・・・ぅん?ううん!!いいなそれ、・・・・キャンパスデート」

「でっしょ〜?」


ふんわりと笑う亮平に馨も微笑み返す



「俺の気が向けばだけどな」


「えっ、かおるちゃん・・・・大学生になってもツンデレ?」


「うるせぇ」
































そんな顔されたら





嬉しそうに未来を語る








お前の気持ち知ったら














俺はやっぱり言えないんだ


<*わんにゃん#>

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あきゅろす。
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