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こねことおおかみ/完結
5
手際よく作られた夕食を二人は仲良く向かい合って食べる。
身体のわりに結構食べる凛の皿には、宗昭とさほど変わりない量の料理が盛られていた。



「ねぇ、むーくん・・・」

「どうした?」

いつもより若干多めの咀嚼は子リスのようで可愛い・・・・と正面にいた宗昭は思っていた。



武道をしてきた宗昭は食事中も姿勢がいい為、凛はいつもよりもっと見上げないといけない。

口の中のものをこくんと飲み込み、優しく見つめる2色の瞳に問う。



「・・・・むーくんは、卒業したらどうするの?」


自分でもよく分からないけれど、聞いている凛の胸はなんだかどきどきしていた。
答えを聞きたいのか
聞きたくないのか

見つめ返してくれる二つの色が
いつもと変わらないことが
ただ凛を少しだけ落ち着かせてくれていた。



「あぁ、武下が言ってたやつか」

「うん・・・」


すぐにぴんときたのか、聞く姿勢を少し崩して食事を再開しながら宗昭は答える。


「なに、そのことが聞きたくてさっきからもにょもにょしてたのか?」

クスクス笑われて思わず口が尖がる凛。

「もにょもにょなんてしてないよ」

「そう?」


「そうだもん」




「あぁ、卒業後の話だったな」


カチャりと食器を片しながら宗昭は話を戻す。


「俺は大学行くぜ」

「・・・・・・」


「ちなみに理系な」

食べ終わった凛の食器も重ねて立ち上がり、席を立った後姿から目が離せない。



「・・・どこの大学かも、決めてるの・・・?」


「あぁー・・・、一応はな」


まだどうなるかわかんねぇよ



水の流れる音と食器の擦れる音が部屋に響く








凛の口からこぼれた疑問は、キッチンまで届いていた。












「凛?」

戻ってきた恋人は、その長身を屈めようとしてくれたけれど




凛は

さっきまで自分を繋ぎとめてくれていた二つの色を

今はなぜだか見れなくて




ただただ

宗昭に抱きつくことしか出来なかった。

<*わんにゃん#>

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