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*ニアタ船に到来



「ねぇニアタ」
『どうした、ディセンダー』
「…テテオでいいよ」

天気の良い、日向ぼっこ日和の甲板。
そこには、ふわふわと浮く可愛らしい陶器のような彼(否、彼等)と、遠くに見える雄大な世界樹を眺める少女。

「名前で呼んでもらえたほうが、いい」
『そうか…では。どうした、テテオ』

ニアタが呼び直せば、テテオは小さく微笑む。
その笑顔が、遠き日にあったものと同じだったことに、ニアタは改めて思う。
そうか、やはりお前は…


「世界は他にも沢山あるって」
『あぁ、その通りだ』
「カノンノがディセンダーの世界と、あのテレジアって世界」
『そうだ』
「私はグラニデの、ディセンダー…」

テテオは暫く思いふけるように黙ったが、意を決したように口を開いた。

「テレジアは、どうやって救われたのかな」
『それを知って、どうする?』
「…どうかする、わけじゃないけど」

テテオは眉尻を下げて、首を傾げる。

「どこの世界も、いつかは死んじゃうって」

フィリアが言ってた、とテテオは両肘を手すりに乗せ頬杖をつく。

そう、全てには寿命がある
それは覆せない事実、自然の摂理
だがしかし、自分のようなものは例外だが…と、ニアタは思う

『寿命のある世界を、救う価値があるのか…と言いたいのか?』
「ううん、そうじゃない」

テテオは首小さく振って、少し咎めるような視線をよこす。心外だ、と言わんばかりに

「むしろ、この世界がちゃんと寿命をまっとう出来るように。私が頑張ることでそれが叶うなら、何だってやれるよ」

「だけど、私は何も出来てない気がする」

世界樹の疲れも世界の危機も、あの博識な先生達に逢わなかったら知ることもなかったろうに
そして今でさえ、自分は彼等が必死に世界を救おうと研究をしているその横で、ほんの小さな役にしか立っていない

「私がいる必要が、分からない」
『…今日はやけに饒舌だな』

普段、あまり一息に沢山話さないテテオにしては、随分と長い台詞。それほど、彼女自身が思い詰めているということだった。
ニアタはその横顔を眺め、彼の日のディセンダーを思い出した。

『某方の光が、全てを救うのだ』
「光?」
『今、この世界には光が必要…それが、某方だ』

某方はこの世界に必要なのだ

「私、此処にいてもいいの?」

『勿論、』


そう言えば、テテオは頬をふにゃりと綻ばせ、良かった、と呟いた。




“大丈夫、カノンノは絶対に守るよ”



そういえばテレジアの救世主は、遠い記憶の中、そう約束してくれたのだった。
その眼差しはいつも真っ直ぐで、無垢。

そしてこのテテオの本質は、その人に似ていた。

『大丈夫、某方ならやりとげることが出来るだろう』
「私、世界を救える?」
『あぁ』


某方ならば、テテオならば



ありがとうニアタ、
テテオはそう言って、遠くに聳える世界樹を見つめた。






重なる眼差し





(そして世界は役目を終える)(また新しい世界を夢見て)


_____
グラニデはパスカの子供ってことは、パスカのカノンノの理想がつまってるんじゃないかと
テレジアのディセンダーを理想に、グラニデのディセンダーは生まれたんじゃないかなぁ。という妄想(^^)



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