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#笑顔ガイと
※注意、ギャグではありません、シリアスになります




不思議な子、

どうしてあそこまで感情豊かだと言うのに
君は笑顔を持っていない?



グッバイラフィング



「また、それ?」
「またって?」

最近、皆はその話ばかりするんだ
テテオはテーブルに突っ伏して、低く唸った。
ようやく最近テテオがうんざりしている理由が分かった。
そして今まさに自分がその地雷を踏んだことも。

「皆、私に笑え笑えって言う」

そんなこと言われたって、出来たらとっくにやっているよと、テテオはキュッと拳を握った。

確かにとガイは苦笑して、テテオの頭を撫でてやる。
すると、テーブルとにらめっこをしていたテテオはクルリとガイに視線を向けた。

「ガイも私に笑ってほしいの?」
「そりゃあ見たいさ。だけど強いるつもりはないし、無理なら仕方ない」

そう言ってやると、テテオは幾分か表情を和らげて顔をあげた。

「だけどな、テテオ」
「?」
「皆だってお前を困らせたくてやってるんじゃない。それは分かるな?」
「うん」

テーブルに突っ伏したせいで崩れたテテオの前髪を直すように掬ってやれば、気持ちよさげに目を細めた(それがどうにも人懐っこい子猫のようで)
テテオ自身も、皆に悪気がないことは理解はしているようだった。
ただやはり、彼女にだって我慢の限界はあるわけで。
皆の一方的な注文に耐えきれなくなったのだ。

「ねぇ、」
「ん?」
「笑うのって、どんな感じ?」
「まぁ人それぞれその時々使い方が違うけど、笑うのは大抵は自分も相手も気持ちいいよ」

テテオはキョトンとしたあと、だからガイはいつも笑ってるんだねと言った。
その声音に、少しだけ羨望の色がついていた事にガイは気付いた。

「そのうち、テテオにも分かるようになる」
「だと良いなぁ…」

寂しげに揺れたその肩を、ガイは優しく抱き締めた。










「なぁ、アンタは知っているのか」

テテオはあのまま寝てしまい、ガイは自室から出た。
廊下の隅に立っているというのにただならないその存在感、どうにかならないのかと思わず苦笑したくなるほどのその男は、ガイの声に薄く目を開いた。
「…何をだ」
「テテオが、笑わない理由だ」

アンタ知っているんだろう、
ガイが確信を持ってそう言えば、クラトスはさぁなと小さく息をついた。
彼の「さぁな」はイエスかノーで言えばイエスの部類。
だがその詳細までは言うつもりはないと、言いたいのだ。
ガイは額に手をあてて溜め息をつく。
そしてクラトスを鋭く見上げた。
「あの子の過去を俺は知らない。だからあの子が笑わない理由も分からない」

だけどアンタは知っている、
テテオの過去も、笑わない理由も、全て全て。

「頼むからあの子を苦しませないでくれ。アンタにしか出来ないんだろう」

自分の無力さに泣けてくる、とガイは拳を握る。
クラトスはそんな彼を見つめて、口を開いた。

「今のテテオは、過去のテテオが望んだ姿だ」

それはつまり、過去のテテオが未来の自分を苦しませまいと選んだ選択肢。

「そのテテオ自身の思いをお前なら無駄に出来るのか」
「それは、」

ぐ、と言葉に詰まるガイを一瞥して、クラトスは歩き去った。







過去のテテオが、今のテテオのために選んだ選択肢。
それが
記憶を失うことと、笑顔を忘れること


自室に戻ったガイは、ソファで眠るテテオの寝顔を見つめた。
その柔らかく滑らかな頬に口付けを落とす。

「いったい何が、お前から…」


いろんなものを奪ったのだろう、

自分からは遠すぎて垣間見ることも出来ないテテオの過去に、歯がゆさを覚えずにはいられなかった。



_____
あんなおふざけてんこもりシリーズが
何故だかガイ登場で此処まですぃりあすに(>_<)
ガイ、アンタ誰だぁあああ
続きそうだけれどどうしましょ、、

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あきゅろす。
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