これから
フォックスが通りすがりざまに俺の襟元をガシッと掴んでそのまま歩き出す。
「行くぞ、ファルコ」
キャスター付きのイスに腰をかけていた俺は、そのまま引っ張って行かれる。
「なぁ…」
しばらくそのまま身を任せていると
「どこに行くんだ?」
「いい加減、イスから降りろ!」
フォックスの手によって冷たい床へとイスから突き落とされたのだった。


先に行くフォックスのアーウィンを追いかけて案内された場所は、鳥の鳴き声しか聞こえない静かでのどかな小高い丘の上。
せまっくるしい母艦とは比べものにならないくらい空気が美味い。
胸いっぱいに冷たい空気を吸い込んでいると、フォックスがここでは1番大きい木の下でしゃがみ込んで、何かを探すように地面の草をかき分けていく。
「フォックス?」
「あった…」
フォックスが開拓した地面には小さなプレートが2つ並んでいた。
そのプレートには文字が刻まれているようだが、刻まれた文字は土で汚れていて読み取れない。
「ジェー、ムズ…」
何とか読みとれた文字を呟くと、フォックスがプレートに付いていた土を払いのけ隠れていた部分の文字が読めるようになった。
「マクラウド」
「俺の父さんと、母さんのお墓だ…、この中に父さんの骨は入ってないんだけどな」
フォックスは目を閉じると、そのまま手を合わせた。
「父さん、母さん久しぶりです」から始まり「ペッピーは相変わらず怒鳴ってます」で終わったフォックスの近況報告を耳だけ傾けて聞いていた。

「オヤジさん達、何か言ってたか?」
「あの不良鳥にはうちの息子は譲りません。って」
生意気に笑うフォックスが俺に手招きをする。
「そうか…」
手招きをしていた手を掴みとって
「じゃあ、しょうがねえな」
「ファルコ?!」
フォックスを引き寄せるとそのまま小高い丘を駆け下りた。
「その手を離すなよ!」



Thanks:) ろくサマ


あきゅろす。
無料HPエムペ!