何でも券
「…マッサージ…券?」
フォックスから手渡された紙切れに書かれた汚くて解読困難な文字を読み上げると
フォックスが胸を張って偉そうな顔をした。
「なんだこれは」
指先だけで紙切れを持って、ひらひらと揺らしていると
「俺、ファルコから貰ってばかりで何も返せてなかったから」
「俺が勝手に押し付けてるだけだ」
フォックスに取り上げられ
「こんなのしか返せないけど」
最初に渡された時のように改めて渡された。
「サンキュ」
このお返しがフォックスらしいと言うか。
適当に作ったマッサージ券なんだろうが、フォックスから貰ったということが単純に嬉しい。
「有効期限とかないからな!」
そもそも物なんかで返してくれなくても、俺はお前からいつもいっぱい貰ってる。
ところで…このマッサージ券はどこまでマッサージしてもらっても良いんだろうか。
"肩たたき券"じゃなくて"マッサージ券"なんだから少しはあっちな期待しても良いんだよな?
いや、ほら。最近ご無沙汰だし。
そんなことを考えていると
「ん…?」
マッサージ券と書かれた紙切れの後ろにもう一枚紙切れがくっ付いていることに気がついた。
その紙切れは表にも裏にも何も書かれていない。
書き忘れたのか?
白紙の紙切れを眺めていると
「それは…」
フォックスが照れくさそうに答えた。
「ファルコが何でも好きなことに使ってくれて良いから」
「何でも?」
「何でも…」
改めて言って恥ずかしくなったのか手で顔を隠して顔を完全に俺から背けた。
「こっち向けフォックス…」
 その手を掴み取って耳元にクチバシを寄せて
「―――…してえ」
「…っ!」
さっそく白紙の紙切れを使わせてもらったのだ。



Thanks:) アプリコットンサマ


あきゅろす。
無料HPエムペ!