そこが指定席
ズキズキ痛む足をひきずって、未開拓の歩きにくい地面をただひたすら前へと進む。
いくつも転がる石に、足を取られ地面に頭をぶつける。
「くッ…!」
自分で自分が情けなくて、奥歯を噛み締める。

間違っていたのは自分だって、気付いている。
でも、気付くのが遅すぎたんだ。

使いものにならない足では立ち上がることも出来ず、目の前に転がる石を握りしめ、俺が進むはずだったその道に石を投げ飛ばした。
石は数回跳ねた後、何事もなかったかのように静止して、どこにあるのかさえも分からなくなった。
見失った石を探して視線をさまよわせていると、見覚えのある姿が視界に入り込んだ。
「フォックス!大丈夫か?!」
「ファルコ…?」
走ってきたファルコのせいで砂が舞い上がり顔にかかる。
「随分ハデにやられてんじゃねえか、フォックス」
普段なら落ち着くその声の音程も、今は責められているような気がしてならない。
「こんなもん、かすり傷みたいな…うわっ!?」
急に視界がさっきまでうずくまっていた地面から、ファルコの尾羽でいっぱいになる。
「ばかっ!降ろせ!1人で歩ける!」
ファルコに軽々と担がれていることに気付いて、ただひたすら暴れる。
「ばーか、無理してんじゃねえよ」
「誰が無理なんかっ!…無理なんか……」

自分に自信が付いてきて、単機で敵地に乗り込んだ。
自分の実力がどれくらいなのか知りたくて。
それを、ファルコは最後まで無理だと止めていた。
ファルコの制止を押し切って、突っ込んだのは俺なのに

「…どうして、迎えに来てくれたんだよ…」
怒ってるんじゃないのかよ?
俺の問いにファルコは答えない。
見上げても、俺からはファルコの後ろ姿しか見えなくて、どんな表情をしているのかも分からない。
ずっと続く気まずい空気。
ファルコの歩くと揺れる尾羽を見ながら、俺は静寂を切り裂いた。
「ファルコ……」
ずっと言わなければと思っていたんだ。
手持ち無沙汰の手でファルコの服をぎゅっと握りしめて…
「フォックス」
「え?」
俺の代わりにファルコが喋り出して、驚いて見上げても、やっぱり後ろ姿しか見えない。
ファルコが急に立ち止まり
「今度は俺達全員でリベンジしようぜ」
スカイクローの翼に降ろされて、顔をのぞき込まれる。
「せっかくの仲間だろうが」
「あぁ」
頷くと、大きな手で頭を撫でてスカイクローのコックピットへと乗り込んでいく。
「ファルコ、今日は悪かった…」
「はっ、お前にしちゃあ上出来だ」
久しぶりのファルコの笑顔に見蕩れていると
不意打ちのようにコックピットの扉が閉まった。
「…え」
慌ててコックピットの窓を叩くとファルコのくちばしが『反省しろ』と動いて、ニヤリと笑うのと同時にスカイクローは動き出した。
「ウソだろー?!!」





Thanks:) ながそでサマ


あきゅろす。
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