上手くいかない
ファルコがチームから脱退して、今日で何日目になるのだろうか。
隣にいて当たり前だと思っていた存在が前触れもなく居なくなってから、今日で何回ファルコのことを考えているのだろうか。
ヤカンの口から立ち上る湯気を眺めながら、そんなことを考えていた。
さすがに何日も離れていたら次第にファルコのことを考える時間も少なくなってきている。
このまま忘れてしまえれば苦しい想いをしなくて良いのにな。
実際ファルコが居なくてもいつも通り上手にやっていけている。
「あ、ファルコ。上の棚の茶葉を…」
…とってくれないか。
そう続くはずだった言葉は、後ろを振り返りいつもファルコの座っているはずの椅子に誰も座ってない現実を受け止めて、ようやく口から出てこなかった。
「いや、今のはジョークだって…」
無意識だった。
ファルコが居なくても上手くやっていけている。って言ったばかりだったのに。
無意識に頭がファルコを探していた。
「大丈夫だ。上手くやっていけてる」
再度自分に言い聞かせて机の上を見ると…

「…上手くいかないな」
いつものように2人分のティーカップが用意されていた。
その横にはファルコが好んで食べていたお菓子までもが2人分並べて置いてある。
「上手く、いけないな…」
無意識に心がファルコを求めていた。

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あきゅろす。
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