サカサマ フォックスside
「ファルコのこと…大好きだからな!」
静まり返っていた部屋に思った以上に俺の声が響いた。
大げさかも知れないけど拡声器越しに叫んだんじゃないかってくらい響いた。
響いた声は俺の頭の中でも繰り返し繰り返し響いていた。
言って良かったのか?本当に言って大丈夫だったのか?
言われた当の本人は呆けた顔してクチバシ1つ動かさずに俺の方を見ていた。
次にファルコのクチバシが言葉を発するために動くのが怖くて
「…っ」
その場から思いっきり走って逃げ出してしまった。

自分でも何であんなことを言ってしまったのかが分からない。
ただ、今までどう頑張っても伝えられなかった"好き"を、言ったことと反対の意味になるルールが適応しているうちに面と向かって伝えておきたくなったんだ。
反対の意味で伝わらないととてもじゃないけどこんな想いは伝えられない。
俺のファルコに対する"好き"は、とっくに友情の範囲を越えてしまっている。
こんな感情知りたくなかった。
こんな感情気付かなければ良かった。
こんな感情、忘れ…
「おい」
「うわっっ!!」
不意にスカーフを後ろに引かれて、バランスを崩した体が
「言い逃げは良くねえだろ」
ファルコによって受け止められる。
そのまま耳元にファルコのクチバシが近付いてきて
「俺もお前のこと大好きだ」
そっと囁かれた。
驚いて横にあったファルコの顔を見ると、明らかに「告白したぜ」って顔なんかじゃない。
普段ふざけあっている時に見せる表情だ。
本当に勘違いしてしまうくらいに甘くて優しい、嘘。
こんな嘘は心臓に悪い。
「…さっき、いっぱい聞いた」
勘違いした心臓が鳴り止まない。
「いや」
不意に真剣な顔で

「今のはホントだ」

目を見て伝えられる。
「嘘じゃねえ」
ファルコの真剣な目から逃れられない。
「ま…だ、ゲーム続いてる?」
言葉が上手く口から出てこない。
「反対の意味でもねえ」
今度こそ心臓が壊れてしまいそうなくらいに高鳴る。
自分でも自分の顔が赤くなっていくのがわかる。
答えて良いのかな。俺の感情ぶつけても大丈夫なのかな。


「俺も、俺もファルコが大好きだ!」

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あきゅろす。
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