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ずっと暗闇の中を歩いていた。
中学ではオレの居場所なんてどこにも無くて。
マウンドの上だけは譲れない、そんな卑屈で傲慢な自分のことが大嫌いだった。
でも
阿部くんはそんなオレの事を好きって
好きだって言ってくれたんだ。
その瞬間、暗闇の中に一筋の光が見えた気がしたんだ。
きみがくれたもの
「三橋って、阿部のどこが好きなの?」
昼休み。いつものように机を寄せ合ってお弁当を食べてると、田島くんがせわしなく動かしていた箸を止めて言った。
「あ、それオレも聞きたかった。」
泉くんがそう言うと、隣にいた浜ちゃんもうんうんと頷く。
「な、なん で?」
「だって、阿部ってうるせーじゃん。アレするなー、コレするなーって。」
「よく怒鳴るしな。」
確かに、阿部くんが恐いって感じる時もある。
いきなり大きな声出されたりすると緊張するし、頭をグリグリされるうめぼしも痛いし…。
でも、それはオレの事を考えてくれてるってことだから。
「阿部くん は、すごい んだ。」
阿部くんの事を考えると胸の辺りがあったかくなる。
「あ、阿部くん がいなかったら、オレは きっとダ メピのま まで…。」
阿部くんがいてくれたから今の自分がいる。
毎日が楽しくなったんだ!
「だ から、その、う…あ…。」
「そっか!三橋にとって阿部はスゲーやつなんだな!」
この気持ちを言葉にするのが難しくて言葉に詰まってると、田島くんがニカっと笑いながら言った。
「お。ウワサをすればなんとやら。」
泉くんの目線を追って廊下の方を見ると、阿部くんが教室の入り口に立っていた。
「三橋、ちょっといいか?」
その声を聞いて、オレは阿部くんの待つ廊下へ行く為に席を立った。
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