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〜 Remember my heart 〜
episode;04 コロナ編
「それじゃ、これでも使ってみるか……」


ポケットから取り出したのは、二枚のチケット。
先日出来たテーマパークのチケット。


休暇を言い渡されたとき、むりやり上司から渡されたんだよな、これ。
確か、プールも隣接してるんだよな、ここは。


「ちょっと通信してみるか。急な話だから、大丈夫かな?」


俺は、スクリーンを開き、彼女に通信をする。
すると……。


「おはようございます。一体どうしたんですか、フィルさん?」


俺の彼女のコロナ・ティミルが、パジャマ姿のまま通信に出てきた。
しかも、若干はだけてるし……。


「おはよう、急に通信してすまないな。でも、その姿だったら、サウンドオンリーにしてもかまわなかったんだけど……」

「えっ? きゃ、きゃあああっ!!」



コロナの奴、今の自分がどんな姿か分かっていないで通信に出たな。
しばらく、通信はサウンドオンリーになっていたが、部屋で慌てている様子は思いっきり伝わってきていた。



「はぅ……。恥ずかしい姿見られちゃったよ」


今のコロナは、ラフだけどちゃんと洋服に着替えている。
よっぽど恥ずかしかったんだな。


「まぁ、俺としては、その……良い物を見させてもらった、と言っておこうかな」


自分の彼女のパジャマ姿なんて、普段じゃ見られないんだし。


「……本当ですか? わたし、ちゃんと色気あります?」

「十分、魅力的だっての……」

「フィルさんにそう言ってもらえると……やっぱり嬉しい、です」



コロナは、同世代のヴィヴィオやリオに比べて、身体的に成長してないと、いつも自分で言ってるが……。
そんなこと決してないから……。


「そういえば、今日はなにかご用ですか? 確か、今日もお仕事だったはずでは……」

「その事なんだけど、強制的に休み取らされた。おかげで3日間完全フリーだ」


俺は、コロナに休暇に至る経緯を話すと、みるみる呆れた表情になっていき……。



「……それ、あたりまえです。フィルさん、もう少しちゃんと休んでください!! フィルさんが倒れたりしたら、わたし……わたし……」

「……ごめん。これからは休暇取るようにする」



自分の彼女を心配させてまで仕事しても意味がない。
それに、最近コロナと一緒にいられる時間とれてなかったしな……。


「お詫びというわけじゃないけど、よかったら今からここに行ってみないか?」


ポケットから取り出し、テーマパークのチケットをコロナに見せると……。


「それ、新しくできた所ですよね!! わたし行ってみたかったんです!!」

「そっか。今から迎えに行くから待っててくれ」



俺は、ガレージに行き、愛車のエンジンをかけると今日もいい音を響かせていた。
ギアを一速に入れ、ホイルスピンをさせながらコロナの下へと急いだ。




*     *     *



「ふふふっ〜。久しぶりのデートだ」



こないだフィルさんとデートしたのは、2ヶ月前。
仕事で忙しかったから、通信もなかなか出来なかったけど、こうしてデートできるのはやっぱり嬉しいな。



「ちょっと……冒険しすぎたかな?」



今着てるのは、黄色のビキニとパレオの水着。
普段ならワンピースタイプ選んじゃうんだけど、今日は頑張ってビキニを着てみた。


フィルさんに可愛いよって言って欲しいから……。



「いっけない!! フィルさん、もうプールサイドで待ってるよね」


わたしは急いでフィルさんが待ってるプールサイドへと向かった。

しかし……。



「あれ? あれは、フィルさんと……なのはさんとフェイトさん!?」


フィルさんの隣にはなのはさんとフェイトさんがいて、なにか話をしている。
一体何の話なんだろう?


ちょっと気になって、わたしは近くの柱に隠れて聞くことにしました。




*     *     *




「でも、まさかこんなところで会うとは思わなかったよ」

「そうですね。さすがにプールで会うとは思いませんでした」



なのはさんとフェイトさんは、共にビキニタイプの水着。
しかも、あの二人にすっごく似合ってます。


わたしの胸じゃ、あそこまでは……。



「でも、臨時の休暇、ちゃんと使ってるみたいだね。コロナちゃんと来てるんでしょう?」

「ええ、もうすぐ来るとは思うんですが……。あれ? なんで俺の臨時休暇のこと知ってるんですか?」


すると、お二人はなにか悪戯が成功したような表情で……。


「だって、あれ、わたしとフェイトちゃんが申請したんだもん」

「ええっ!?」



フィルさんから、上司から臨時休暇を言い渡されたことは知ってましたが……。
フィルさんも思いっきりびっくりしてます。



「……一体、どういう事ですか?」


すると、フェイトさんは、少し怒ったような表情でフィルさんのことを見て……。


「……あのね、フィル。最近、コロナとちゃんと会ったりした?」

「正直、会えてませんでした……」


フィルさんは、ここ最近、執務官の仕事がすごく入ってきて会う時間もとれないでいた。
寂しかったけど、それは我慢しなきゃ……。


「やっぱりね……。こないだコロナちゃんにあったとき……泣いてたんだよ。寂しいって」

「!?」



―――――見られてたんだ。


この間、なのはさんと会ったときに、少しだけお話ししたんだけど、その時にフィルさんの話が出て、すごく寂しくなっちゃって……。


でも、すぐに思考を切り替えたから見られなかったとおもってたのに……。



「それでね、私となのはが直接出向いて、休暇申請を強引に出したの。本当はダメなんだけど、向こうの上司もなんとか休暇を取らせたかったから、すぐに申請が通ったんだ」

「そうだったんですね……。すみません、完全に俺のせいです。コロナに……そんな思いをさせてた俺の……」


違います!!
フィルさんが忙しいのは、仕方がないことです。

人々のため、そして、わたし達のために一生懸命にしてくれてるんですから……。


「そう思うなら、これからはちゃんと、コロナちゃんとの時間を作ってあげること。でないと、今度は本当に怒るからね」

「……ええ、自分の彼女を泣かせてたんじゃ、本末転倒ですからね。仕事量、減らします」

「うん、なのはと二人でお膳立てした甲斐があったよ。これで大丈夫だね」

「お膳立てって……。まさか!?」

「そう、ここのチケットもわたし達が用意した物だよ。フィルをここに呼んで話するためにね……」



フィルさんは、上司の方から「これでも使って気分転換しやがれ」って言われて強引に渡されたって言ってたけど……。


「こんな偶然そうはないだろうって思ってましたが……。そう言うことだったんですね」

「そういうこと。私たちの話はおしまいだから、あとは二人で楽しんでね。それと、コロナ、もう隠れてないで良いよ」

「えっ?」



―――――見つかっていた!?


じゃ、なのはさん達は、わたしがここにいるって分かってて話をしていたんだ。
わたしは、柱の陰から出てきてフィルさん達のそばに行きました。



「フィルさん……」

「……本当に、ごめんな。コロナ」

「良いんです。こうして、わたしのことを思ってくれるだけで……」



フィルさんが、わたしのことを好きって思ってくれる。
それで、十分幸せなんですから……。



「それじゃ、わたし達は馬に蹴られないうちに退散するね。フェイトちゃん」

「そうだね、お邪魔虫はこの辺で消えないとね、じゃあね、フィル、コロナ」


そう言って、お二人は更衣室の方へ行ってしまいました。
本当、わたしは素敵な人たちに見守られてる。


いつか、わたしもなのはさん達みたいに素敵な女性になりたいです。
ああいう風に、さりげなく気遣いが出来る素敵な女性に……。




*     *     *



「行っちゃいましたね」

「ああ、でも、おかげで大切な物失わないで済んだよ……」


そう言って、フィルさんはわたしを自分の方へ抱き寄せて……。


「お前という大切な女の子を、な……」

「フィルさん……」

「それと、その水着、よく似合ってる。なんか新鮮な感じだ」

「……よかった。頑張って、ビキニ着た甲斐ありました」



ビキニなんて止めれば良かったって思ってましたが、着てきて良かったです。
わたしは、嬉しくなってフィルさんの腕にぎゅっと抱きつき……。



「あ、あのな……。そうされると、その胸が……」


分かってますよ。
ワザと胸を押しつけてるんですから……。


だって、こうでもしないと、胸が小さいわたしじゃアピールできないし。



「フィルさんはいやなんですか? わたしに抱きつかれるのが……」


わたしは、上目遣いでフィルさんのことを見つめる。


「そうじゃなくて、その、な……」


分かりますよ。フィルさんがドキドキしてるのは……。
でも、これはわたしが寂しい思いをした分の罰です。


だから、今日はずっとこうして離れませんから〜♪




*     *     *




「……やっぱり、こ、こ、怖いです」

「本当に大丈夫か? 何だったらリタイアしても良いんだし……」

「い、いえ、自分で言ったんですから、が、がんばります!!」



本当は、お化け屋敷なんて苦手なんだけど、今日はフィルさんにいっぱい甘えたかったから、頑張って入ってみたんだけど……。

ここのお化け屋敷って、ミッド最恐と言われるほど怖い場所で有名なのすっかり忘れてた。
わたしは怖くて、フィルさんにぎゅっと抱きついてしまって、結局迷惑かけちゃっただけじゃない。


すると、フィルさんが……。



「……怖かったら、しっかりとつかまってな。言っただろ、今日はたくさん甘えてくれって……。今までしてあげられなかった分もな」

「……フィル、さん」

「それに、俺も可愛い女の子に抱きつかれて役得だしな」



フィルさん、わたしが甘えられるように、ワザと慣れない気障な言葉を言ってくれたんだ……。



「じゃ、最後までエスコートお願いします♪」



そして、わたしとフィルさんは、なんとかゴールまでたどり着いて、ゴールの証の記念カードをゲットすることが出来ました。
これ、成功率がかなり低いからレアカードとも言われてるんだよね。




*     *     *




「〜♪」

「それ、よっぽど気に入ったんだな」

「はい!! だって、フィルさんとの思い出がまた増えたんですから〜」



フィルさんと、今まで色んな事をしてきたけど、今日の遊園地デートはとっても楽しかった。
プールでも、お化け屋敷でもすっごく甘えられたし、それに戻ってきてからも、こうしていっぱいフィルさんの温もりを感じられたから……。



「そうやって、コロナの笑顔を見られるのが、なにより嬉しいのに、ここん所仕事優先してたからな……。本当、なのはさん達に感謝だよな」

「そうですね。わたしも、こうしていっぱいフィルさんに甘えられたし、たくさん……愛してもらいましたから……」



いくら、普段から甘えてくれて良いって言われてても、やっぱり甘えるだけじゃなくて、フィルさんのこと支えられるように頑張らなくちゃって思ってしまうから……。

なかなか、甘えられなかったけど、今日はせっかくの機会を目一杯、利用しちゃいました。



「……それは、どちらかというと俺が言うことかな。コロナの身体に甘えさせてもらったし、な」

「ふふっ、フィルさん、わたしの胸にいっぱいキスマーク付けてくれましたし〜♪」



こうしてキスマークが付いてると、フィルさんがわたしを愛してくれてるって感じられるから……。



「でも、今日はもっと付けてもらおうかな。時間はいっぱいありますし〜♪」

「ったく、さっき聞いたときはびっくりしたぞ。まさか、デートに行く前にお泊まりしてくるって言ってたなんてな……」

「えへへ〜。だって、久しぶりのデートだったんだもん。それに、うちの両親、フィルさんのこと信頼してるから逆に応援してくれたし……」


だって、普段から無断外泊とかは許さないフィルさんだから、しっかりと送ってくれるし……。
泊まるときとかも、しっかりと両親に連絡してくれる。


そのせいで両親が、とくにママが『チャンスがあったら泊まってきて良いから!!』って言ってくれてる。
普段のフィルさんの誠実さが、こういったときに出るんだよね。


みんなが付き合ってる男の子だと、なかなか大変らしく、両親からはお泊まりなんてふざけるなって言われるんだって……。
同世代の男の子には悪いけど、フィルさんみたいな人ってそうそういないと思うから……。



「まったく……」


そう言って、フィルさんはわたしの上に覆い被さって……。


「男の家に泊まるって事は、覚悟はできてるんだろうな……」


フィルさん、それは野暮ですよ……。
女の子が、男の人の家に泊まるって事は、それなりの覚悟が必要なんですから。

女の子のこと、あんまり舐めないでくださいね!!


「フィルさんこそ、覚悟してくださいね。いっぱい甘えちゃいますから、全部受け止めてくださいね〜♪」



こうして、わたし達は互いの匂いが混じり合うほど、何度も愛し合い……。


その後は、二人でシャワーを浴びて、そのまま裸のまま眠りにつきました。


こうして、フィルさんの腕枕で眠るととってもあったかい。
わたしのことを包んでくれるって感じられるから……。


でも……。


「これ、しばらく……消えないよね」



やっぱりキスマークはちょっとやり過ぎちゃった……。
また、ヴィヴィオやリオ達に追求されちゃうよ!!

でも、今回はわたしが自分でしてほしいってお願いしたから、しかたがないかな。



「もう……いくらなんでも、付けすぎです」


ちょっとだけ悔しいので、わたしもお返しに、フィルさんの首下に思いっきり吸い付き、キスマークを付けて……。


「これは、女の人が寄ってこないよう、わたしからのおまじないです」


フィルさん、自覚が全くないけど、この人はかなりもてています。
ヴィクターさん達やヴィヴィオ達もそうなんだけど、フィルさんの妹分のジークさんなんか、わたしに対して敵対心出してるときがあるんです……。



わたし、絶対に負けませんから!!


だから、フィルさんもいっぱいわたしのこと愛して、不安をとりのぞいてください。


でないと、また泣いちゃいますからね。





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