[携帯モード] [URL送信]

〜 Remember my heart 〜
〜 Pink Diamond 〜


「……すぅ……すぅ……」

「ふふっ」


朝日の光で目が覚めたわたしは、フィルさんの寝顔を見ながら昨日のことを思い出していた。

昨日の夜―――――。
わたしとフィルさんはこのベッドで愛し合って、一つになった。

あの時、フィルさんに抱きしめてもらったぬくもりは、まだこの身体に刻み込まれている。

そして――――――――。

「……これ、しばらくは……消えないよ……ね」


首筋に付けられたキスマークがその証―――――。
これ、絶対学校でヴィヴィオやリオに突っ込まれる!!

その……嫌じゃないんだけど、やっぱりはずかしいよぅ〜。


「……なんか、わたしだけってのは不公平です」


フィルさんはまだ目を覚ましていない。
昨日は、フィルさんにいっぱい主導権取られちゃったし―――――。

ちょっとだけおかえしです♪


「……んっ」


わたしはフィルさんの首筋に、口づけし、音を立てて思いっきり吸い上げる。
キスをしたところは、赤くなっていて所謂キスマークの完成だ。

それを何カ所か繰り返し、首筋だけじゃなく―――――。



腹部

さらに―――――。

上半身のあらゆる所に、わたしのキスマークを刻みつけていった。
フィルさんと、いくら身も心もつながったといっても、やっぱり不安なんです。

フィルさんって、鈍感朴念仁ですから、周りの人の気持ちに気がついてないし―――――。


なのはさん達はともかく、ティアナさん達やヴィヴィオやリオ、アインハルトさんだって、フィルさんのことが好きなんですよ。

さらにキスマークを付けようとしたとき―――――。


「……あのな、いくらなんでも……やりすぎじゃ……ないか」


フィルさんが目を覚まして、わたしの髪に触れてきた。


「……あの……もしかして……起きて……ました?」

「あれだけされれば、嫌でも起きるっての……」

「……ご、ごめんなさい」

「いや……怒ってるんじゃない。そういうったことはな……その……」


フィルさんは、赤面しながらどもってしまった。
もしかしてフィルさん……照れてます♪


「じゃ、今度からフィルさんが起きてるときにしますね♪」

「……いや……そうじゃなくて……その……な」


フィルさんは、両手を挙げて降参の意思表示をする。


「フィルさん……こうして一緒にいるときは、フィルさんもわたしに甘えてください……。愛してもらうだけじゃ……『愛』にはなりませんから」


これはわたしの持論だけど、恋は一人でも出来るけど、愛を育むのは一人では無理だと思う。

お互いを支え合ってこそ、愛だと思うから―――――。


「……昨日、いっぱい甘えさせてもらったんだけどな。お前の身体で……」

「……もっと……もっとですよ。わたしもフィルさんに甘えて欲しいし、こっちも……もっと甘えたいですから……」

「じゃ、お言葉に甘えて……早速甘えさせてもらおうかな……」

「……はい」


こうして、わたしとフィルさんは、またベッドでお互いの体温を感じ合い、快楽の海に溺れ、そして心も溶けあう――――――――。

朝とかそう言うのは関係ない―――――。

互いの体温を感じ合っているときは、身も心も一つになっているって感じられるから―――――。



*    *    *


「結局、昼近くになっちまったな」

「ですね。でも、今日は一日オフですよね」

「まあな。明日にはまた任務だけどな……」


明日にはまた過酷な任務が待っている。
こうしてフィルさんと過ごせる時間は少ないけど、オフの時はめいっぱい楽しまなきゃね。


「だったら、これからクラナガンに出かけませんか?」

「コロナが疲れてなければ、俺は良いけど―――――」


するとフィルさんはいたずらっ子の表情をして―――――。


「さっきの運動で疲れちゃってるんじゃないか〜」

「……いじわる」


今の発言はちょっとデリカシーが無さ過ぎです。
さすがにフィルさんも悪いと思って、本気で謝ってくれた。

ティアナさんから聞いていたけど、フィルさんって大好きな人にはちょっと意地悪する傾向があるって―――――。

弄られるのは嫌じゃないんですけど、ちょっとだけ控えて欲しいかなっておもうのはわたしのわがままかな?


*    *    *



「うわぁ……色んなメニューがありますね」

「以前、来たときより増えてるな」


わたし達はクラナガンにある喫茶店に来ていた。
この喫茶店は、普段のデートコースでも時々使っている。

ケーキやコーヒーが手頃な値段で美味しいのもあるんだけど―――――。


「でも、やっぱりあるんだな……これは」

「月替わりでいろんな事が楽しめて良いじゃないですか♪」


フィルさんが若干ため息をついてみたのは、メニューの表紙にある特別なメニュー。
それは―――――。


『月替わり恋人限定スイーツ』


「……もしかして……今回も?」

「はい♪ すみません!! 恋人限定メニューを一つお願いします!!」
 


わたしがこの店を気に入ってるのは、この恋人限定メニューがあるからだ。
ここに来る度に、わたしはフィルさんと一緒にこのメニューを食べている。

ある時はパフェだったり、ある時はハート型のストローで一緒に飲んだりと―――――。


「お待たせしました。今月の恋人限定メニューでございます」


出されたのは二つのジュースと―――――。


「これ? ポッキーだよな?」

「ですね。あっ、説明書きの紙が一緒にありますね」

「何々……? って、マジか……」

「ですね……」


そこに書かれてたのは、お互いにポッキーの端と端を咥え、それをちょっとずつ食べていく。
それを折れないで、どこまで食べられるかっていうことなんだけど―――――。


「これ……絶対最後は……」

「キス……しちゃいます……ね♪」


人前だから、ちょっと恥ずかしいけど、そうなったらそうなったで良いかな♪


「……少し恥ずかしいが、コロナさえ良ければ……やってみるか?」

「はい!! もちろん♪」


断る理由なんかこれっぽっちもない。
早速わたし達は、端を咥えてゆっくりと食べ始めた。

フィルさんは恥ずかしさから、顔が真っ赤になっているけど、きっとわたしも同じなんだろうな。
ポッキーが短くなるにつれて、互いの鼓動が……吐息が感じる。

ポッキーが半分くらいになったところで―――――。


「「あっ……」」


ポッキーはちょうど半分の所で折れてしまった。


「……折れちゃいましたね」

「だな……」


ちょっと残念です。

せっかく半分まで来ていたのに―――――。
わたしががっかりしていると、フィルさんが咥えていたポッキーを全部食べ、そして―――――。


「……半分は、まだ残ってるよな。だったら、続き……するか?」

「……はい」


わたしは目を閉じて、咥えていたポッキーをフィルさんの方へ差し出す。
フィルさんも、そのポッキーを咥えて、さっきと同じく端から食べ進めていく。

次第に距離が縮まり―――――。

そして―――――。


「んっ……ぁ……」


ポッキーは全て食べ尽くし、互いの唇を重ね合った。
深くつながるキスも良いけど、こういうキスも良いかな♪

結局フィルさんが恥ずかしさですぐに離れてしまい、その後は普通にポッキーを食べたんだけど、フィルさんの耳元でこうささやくと―――――。


(今度は、フィルさんの部屋でこれ……しましょうね)


フィルさんは耳まで真っ赤になっちゃったけど、その後すぐ―――――。


(そのときは……おまえも……一緒にもらうからな)


それを言われて、わたしまで真っ赤になっちゃった。
フィルさんをからかうつもりだったんだけど、逆にこっちがやられちゃった。

でも、フィルさん、言ったことには責任を取ってもらいますからね。
これをやったとき、絶対わたしも一緒に食べてもらいますよ♪


*    *    *


喫茶店を出て、しばらくクラナガンの街を探索していたら、あるジュエリーショップが目にとまった。
そこに展示してあった一つのイヤリング。

ピンクダイヤモンドで作られたイヤリング。
ブランゼルと同じ色で、とっても惹かれる綺麗な淡いピンク。


「それ……気になるか?」

「はい、プランゼルの色にとても似てるので……」

「そっか……ふむ……」


フィルさんが、顎に手をついて少し考えて、次の瞬間―――――。


「すみません、このイヤリングをください」

「ええっ!!」


フィルさんは、なんかあっさりとイヤリングを買おうとしてるけど、お値段かなりするんですよ!!

少なくても、わたしの1年分のお小遣いじゃ全然足りないんですよ!!


「まぁ、ポンポン買う訳じゃないし、たまには恋人らしいことも……してやらないとな」

「フィルさん……」

「だから遠慮しないで受け取ってくれよな」


そう言ってフィルさんは、渡されたイヤリングをわたしの両耳に付けてくれた。


「ちょっとだけ……キザっぽいです」

「自分でもらしくないことをしてるって思う。でも、やるときにはやらないとな―――――」


フィルさんがわたしにイヤリングを付けてくれた後、『兄ちゃん、やるね!!』とか『彼女とお幸せにね!!』とか周りの人に、お祝いの言葉やら冷やかしの言葉をかけられた。

このイヤリングを付けて、学校に行って、今朝のキスマークを見られたら、絶対にヴィヴィオやリオ達が追求してきて、絶対にほしがるだろうな。

でも、このイヤリングはフィルさんが、わたしにプレゼントしてくれた大切な証―――――。
絶対に誰にもあげないんだからね!!


*    *    *


「あの……フィルさん、せっかくですから、ここでプリクラ……取りませんか?」

「プリクラか……」


ジュエリーショップを出た後、わたし達は、ゲームセンターに来て遊んでいた。
エアホッケーや、レースゲーム、シューティング、様々なゲームを楽しんで、最後に来たのはこのプリクラコーナー―――――。


「女の子って、本当にプリクラとか好きだよな。ヴィヴィオ達もそうだったし……」

「……むぅ……フィルさん、ヴィヴィオやアインハルトさんと来たこと……あるんですか」

「ま、まぁ……な。前に学校帰りに出くわして、そのままプリクラコーナーで半ば強引に……」

「その時の写真……見てないですよ。フィルさん……み・せ・て・く・だ・さ・い・ね♪」

「あ、ああ……」


見せられたプリクラは、ヴィヴィオやアインハルトさん達だけでなく、八神家のみなさんやなのはさんやフェイトさん、さらにはティアナさんやスバルさん。

それだけじゃない。ジークさん達とも……。

わたしが知っている女性全員と撮ってるなんて。


「……フィルさん……恋人のわたしより他の人とのプリクラが多いって……ちょっとジェラシーです」

「そう言うつもりはなかったんだけどな……。嫌な思いをさせて……ごめん」

「良いですよ。フィルさんが皆さんから慕われてるのは……分かってますから、だから……」


わたしはフィルさんの腕にギュッと抱きつき、自分の胸をくっつけて―――――。


「これからいっぱい、わたしとプリクラも撮ってくださいね!! 拒否権はな・い・で・す・よ♪」

「そんな気はないよ……。いっぱい思い出を作ろう。コロナ」

「はい!!」


プリクラマシーンに入ったわたし達は、様々なポーズの写真を撮りまくった。
普通のツーショット写真や、腕を組んでの写真、さらに普段じゃ絶対にしないフレンチキスをしてるところまで―――――。

大胆すぎたかなっておもったけど、でもこれも大切な思い出―――――。

フィルさん、わたしって結構やきもち焼きですから、ちゃんと可愛がってくれないと拗ねちゃいますからね♪


*    *    *



「……見送り、ありがとうな」

「いえいえ、恋人として当たり前ですから」


休暇が終わった翌日、フィルさんはまた新しい任務のため、別世界に出張に出かけることになっていた。

本当は今日は学校があるんだけど、どうしてもお見送りがしたくて、学校を午前中だけさぼっちゃいました。


「じゃ、行ってくるからな」

「はい、行ってらっしゃい。必ず帰ってきてくださいね。フィルさんの帰ってくる場所は……ちゃんとあるんですからね」

「ああ……必ず帰ってくるよ。こんなに可愛い彼女を泣かせたくはないからな……」



こうしてフィルさんはまた任務のため、新しい世界に旅立ってった。
フィルさんが管理局で働いている以上は危険な任務も避けられない。

ましてやフィルさんは、古傷もあって、いつどうなるかなんて分からない。

だから、わたしはフィルさんが帰ってきたときに、心の安らぎになれるような女の子になるんだ―――――。

わたしも早く、フィルさんの……そのお嫁さんになって、本当の意味で支えてあげたいから……。


「さて、急いで学校に帰らなくちゃ!! さすがに、午後までさぼるのはまずい……よね」


余談になるが、学校に戻って、ヴィヴィオやリオ、アインハルトさんに昨日の写真とイヤリング、そして―――――。

情事の証のキスマークを見られて、一悶着があったのは言うまでもない―――――。

これも青春の1ページのひとつ―――――かな!?

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!