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〜 Remember my heart 〜
Memory;11 こころ…ひとつに…
「じゃあ、午後のトレーニングはこれまで!!」

「「「「お疲れ様でしたー!!」」」」

「あっ、片付けは俺がやっておくから、お前らは先上がって良いぞ」


夕食まで、まだ時間もあるし、もう少し体を動かしたいしな。
それにティアたちは、ノーヴェたちと一緒の時間を楽しんで欲しいしな。


「じゃあ、私達と一緒に練習する? 私もなのはも、もう少しやってから上がるつもりだったし」

「……そうだな。それじゃお言葉に甘えさせてもらおうかな」



一人でやっているより、なのはさん達と一緒の方が良い練習になるしな。
俺はフェイトの言葉に遠慮無く甘えることにした。



*    *    *



「それにしても、やっぱりずっとやってたんだ」

「あはは、ちょっと気合いが入っちゃって」



少しだけミット打ちをやるつもりだったんだけど、思いの外気合いが入っちゃって、こんな時間までやっちゃった。


「アインハルト、近代格闘技のミット打ちも中々面白いだろ?」

「はい……。良い練習になりました」

「キャロさん、ママ達とフィルさんはまだ?」

「少し残って練習の仕上げだって」

「3人で飛んでるんじゃないかな」



ママ達は予想していたけど、フィルさんまで居残ってやっているんだ。
フィルさん、まだ本調子じゃないのに、無理しなきゃいいけど――――。



「さて、お楽しみはまだまだこれから!! ホテルアルピーノ名物、天然温泉大浴場にみんなで集合ね!!」

「じゃ、僕はみんなが上がってくるまでに、夕食の支度を手伝っているよ」


ということで、みんな揃って温泉にはいることになりました!!
エリオさんは、ルールーにからかわれて、一緒に入ろっかっていわれていたけど、顔を真っ赤にして全力全開でお断りしていた。

ルールーもエリオさんの性格が分かっているから、あんなことを言ってるのは分かっているんだけど、さすがに一緒は恥ずかしいよ――――。



*    *    *



「あ〜〜。すっごい、いい湯加減〜〜」

「ほんとです〜〜」


ティアナさんとキャロさんは、早速温泉につかって、のんびりとしている。
ルールーの案内でわたし達は、他の所も案内してもらっていた。


「あっちの岩造りのところが熱〜いお湯ね」

「わーい、熱いの好き〜♪」


リオは、あっついのが好きなんだけど、わたしとコロナはもうちょっとぬるいのが好きなんだよね。


「で、向こうの滝湯はぬるめだから、のんびり出来るよ」

「「滝湯!?」」


ルールーが指差したのは、本格的に作られた滝のオブジェから流れ出てくる大量のお湯。


「新しく作ってみたんだけど、けっこうオシャレじゃない?」

「すごいすごーいっ!!」

「あっ、ちょっとぬるめで気持ちいい〜!!」


早速滝湯の湯に手を入れて、湯加減をみると、本当にちょうど良い湯加減でとっても気持ちいい!!



*    *    *



「ゆっくり楽しんでね。みんなも湯加減どう?」

「もお、サイコ〜」

「まったく。しかしアレだな……。前来たときよりもパワーアップしてんな」


ノーヴェの言うとおり、あたしが前に来たときよりも、色々と設備が変わっていた。以前は、ここまでお風呂も大きくなかったのに――――。


「休職中で、今はママと一緒だから、いろんな勉強をする時間があって、その中で一番凝ってるのが建築デザインとか設備設計なんだけど、やってみると本当に楽しんだよね」

「ま、この温泉も、ロッジの改築もお遊びレベルだけど、ちなみにこれ設計図♪」



そう言って、ルーテシアがスクリーンに出したのは、ロッジと温泉の設計図。
ちょっと待って。これ明らかに素人が作る物じゃないでしょう!!


「「いやいやいや!!」」



このロッジと温泉は、フィルも絡んでいるから、明らかにお遊びレベルじゃないのは一目で分かる。

全く、ルーテシアもフィルも本当に凝り性だから――――。



「まぁ、みんなに評判良いのは嬉しいかな。みんなが泊まりに来てくれて、笑顔になってくれたら凄く嬉しい」

「んなもんめちゃめちゃ笑顔だっつーの!!」

「ほんとほんと♪」


あたし達が温泉で暖まっていると、突然キャロが立ち上がって――――。


「ふぇっ!?」

「キャロ、どうしたの?」

「何かこう、柔らかいものがもにゅっと……」


キャロが辺りをきょろきょろ見わたすが、特に変わったことは見あたらない。
そう思っていたら、今度は……。


「ひゃっ!!」


今度は、ティアもビックリして立ち上がって、キャロと一緒に慌てて温泉から出てきた。


「いる!! 何かいるッッ!!」

「なんだかぬるっと!! ルーちゃん!? 湯船の中で何か飼ってたりしないッッ!?」

「えー? 飼ってないよ」



ルーテシアが、指を顎に当ててそう答える。


「第一、温泉に住むような珍しいペット飼ってるなら、真っ先に紹介してるし」

((確かにそうだ!!))


でも、ルーテシアも知らないとしたら、一体何が温泉の中にいるの!?



*    *    *


「なんか、騒がしいね?」

「動物でも出たのかな?」


私がコロナさんと一緒に、騒ぎのあった方に行こうとしたとき――――。


「はわわっ!!」

「きゃあっ!!」



ヴィヴィオさんとコロナさんは、二人とも何かに、おしりを撫でられ、そして――――。


「〜〜〜〜!!」


私も胸とおしりを触られる。
一体誰の仕業か知らないですけど、痴漢行為は絶対許しません!!


私は力の限り、思いっきり拳を振り抜き、目標めがけて放った。
すると、水面が割れ、さっきまでいくらやっても出来なかった水切りが出来ていたのだ。



「……あっ」


そっか……。
さっきまでは、拳のスピードを早くしなくてはとおもってやっていた。

だけど、今は力を全身に回して、無駄のない打ち方が出来ていた。
だから、水面が真っ二つに割れたんだ。



*    *    *



(あービックリした。アレが噂の覇王っ子か)

(しかしセインさんの敵じゃーなかったね)


あたしのIS『ディープダイバー』
この能力は、地面や岩石の中を自由に移動できるだけでなく、無機物ならその内部に潜って進むことが出来る。

それは水中も例外じゃない。



(ふふふ、みんな驚いてるな)


覇王っ子もそうだけど、みんなちゃんと成長してるみたいで、なかなかのさわり心地でしたよ〜。

って、これじゃあたしは親父かっての!?


「あっ!?」

「ふぇっ?」

「うわっ!!」


よっしゃよっしゃ!!
わはははは!! 残るはあとひと――――り!!


(ヴィヴィオの友達の元気っ子!!)


あたしはそっと背後から気づかれないように近づき――――。


「がお――――っっ!!」


後ろから可愛い胸を鷲掴みにした。


《Emergency. Powerd-System Set up.》

「ええっ!?」


突如、温泉のお湯が紫電と共に、ドオンと大きな音を立てて、あたし達の周りから水柱となっている。

しかも……。


がしっ!!


「いいっ!?」


リオが変身していて、あたしの腕をがっちりとつかんでいる。
しかも、放電現象だけでなく、その周りには炎も一緒に纏っていた。


「や――――ッ!!」

「ちょ、ちょっと!?」

「絶招(ぜっしょう) 炎雷砲(えんらいほう)」


あたしは腹に思いっきり蹴りをもらってしまい、そのまま上空高く飛ばされ――――。


そして――――。


ドボ―――――ン!!


思いっきり温泉に叩きつけられてしまった。



「リオ!!」

「リオ、大丈夫!?」


悪戯したのは悪かったけど、だれか、あたしの心配もちょっとはしてくれても良いんじゃない―――――。



*    *    *


「もーダメだよセイン。こういうイタズラは!! みんなが転んでケガでもしたら、笑い事じゃすまなかったんだし」

「セクハラも犯罪なんだからね」


うっ……。


「私が営業妨害で訴えたら捕まるしね」


うぐっ!!


「まったくこんなのが、あたしより年上かと思うと、涙が出てくるわ」


うぐぐ……っ


「う……うう……」

「なんだよ〜〜。ちょっとみんなを楽しませようとおもっただけじゃんかよ〜!!」


ケガしないように、ちゃんと気をつけてたっつーの!!
これでも聖王教会のシスターだぞ!!


「あ、あの……」

「おいおい……」

「おまえら楽しそうなのに、あたしだけ差し入れ渡したらすぐ帰るとか、切なすぎるじゃんかよ〜!!」

「自慢じゃねーが、あたしはお前らほど精神的に大人じゃーないんだからな!!」


こうなったら開き直ってやる!!
どうせあたしはみんなみたいに、大人じゃないですよ!!



「えーと、とりあえずセインは、リオちゃんに謝った方が良いと思うよ」

「あ、そうだった」


キャロの言うとおり、あんなに泣かせてしまっては悪戯が過ぎた。
ちゃんと謝らないと―――――。


「そのごめんな。ちょっと調子に乗りすぎた」

「あたしこそごめんなさい。思い切りやっちゃって……」


あんな酷いことをしたのに、蹴ったことを謝ってくれる。
やっぱりヴィヴィオの友達は、みんな良い子ばっかりだね。


結局、その後、ルーお嬢様からの交換条件として、今夜と明日の朝ご飯を作ることで許してもらえることになった。


「それにしても、リオも『大人モード』が出来るんだ?」

「ヴィヴィオやアインハルトさんのとは、ちょっと方式が違うんですが、一応同系の身体強化魔法です。格闘魔法戦用に自己流で組んでみました」

「「「へ―――――!!」」」」

「さっきの凄い蹴りだったけど、あれはストライクアーツ?」


確かにあれだけあたしを吹っ飛ばせるって、かなりの強さじゃなくちゃ出来ないよね。
でも、ストライクアーツにしては、ちょっと変則的だったみたいだけど?


「うちの実家の方の格闘技なんです。子供の頃から習ってて」

「へ―――」

「変換資質があるの? 炎と電気が両方出てたけど……」


キャロの言うとおり、あの時、見間違いでなければ、確かに両方出ていた。
ということは……。


「一応両方……」


リオがもじもじと、照れながらそう答えてくれた。


『え―――――!?』

「それ凄い!!」


こうしてみると、本当にヴィヴィオもコロナもリオも、凄い子ばっかりなんだな。



*    *    *



「リオさんも凄いんですね」


こうしてみると、ヴィヴィオさんも、皆さんも凄い人ばかりです。


「はい、変換資質は知ってましたが、大人モードは初めて見ました」

「リオね、ヴィヴィオとアインハルトさんに触発されて、頑張って完成させたんだって。本当は、明日の練習会で見せて、びっくりさせる予定だったみたいだけど」

「いや、十分びっくりしたした!!」

「練習会……?」


コロナさんの言葉で、ふと車の中でのことを思い出した。
そうだった。たしか日程表に―――――。


「そうです。練習会!! オフトレツアー二日目恒例行事!! 大人も子供もみんな交ざっての陸戦試合(エキシビジョン)」

「なに明日の話ー?」

「そー!!」

「あたしは初体験だから、すっごい楽しみ!!」

「前回は、本当に凄かったんだよ。八神司令達も一緒だったし、それにフィルさんもまだ執務官現役の頃だったから……」



コロナさんの話によると、前回はフィルさんも試合をしていて、奥さんのフェイトさんと一緒に大活躍だったらしい。


「今回はちょっと人数が少ないから、1on1の機会が増えそうだね」

「チーム分けはどうなるのかな?」

「うーん、燃えてきたー!!」


実は、フェイトさんとフィルさん。
この二人のコンビは、一騎当千の戦力になるため、今回はおそらく敵同士になる。

前回は開始早々、たった二人で殆ど倒してしまい、試合にならなかったとのことだ。



「試合で戦うんですか―――――? 皆さんやヴィヴィオさんのお母様達と」

「はい!! 二組に分かれてのチームバトルで、相手チームを全滅させるまでの勝負です」

「大人チームは最大出力に制限が付きますが、それ以外は全力です」

「純粋に戦技と戦術の勝負ですね」


戦える―――――。

あの凄い人たちと戦える―――――。

あの人たちに覇王(わたし)の拳は届くのかな―――――?

いや、違う!! 

届かせるんだ―――――。

どんな相手にだって、私と彼の覇王流(カイザーアーツ)を!!


「組み合わせはまだ分かりませんが、敵チームになっても負けませんよ」

「わたしもです」

「あたしだって!!」

「望むところです」


明日は、絶対に負けたくない。
あの人達に、絶対私の拳を届かせるんだ!!



*    *    *


「これが、明日の組み合わせ?」

「うん、ノーヴェが作ってくれたの」

「出来たんだな。明日の組み合わせが」


俺たち3人は、クールダウンの後、なのはさんが持っている、明日のチーム戦の割り振りを見ていた。


「綺麗に割り振ってあるねえ。同ポジション同士が接戦になりそう」

「ほんと」

「ああ、でも、エリオにはすまないことをした。人数を合わせるのに、俺の代わりに交代してもらうことになって……」


実はノーヴェが最後まで、バランスを考えてくれたんだけど、どうやっても、俺が入ることでパワーバランスが崩れてしまい、うまくいかなくなってしまった。

当初は俺が抜ける予定だったんだけど、エリオが、「フィルさんの復帰戦を見たいので、今回は見学に回りますね」と言ってくれて、エリオのポジションに俺が入ることになった。

本当なら、エリオも戦いたかったはずなのに、本当にすまないことをした。

そして最終的にできあがったのは―――――。



§TEAM RED                  

CG:ティアナ・ランスター  
GW:フェイト・T・グリード
FA:ノーヴェ・ナカジマ          
FA:アインハルト・ストラトス       
FB:キャロ・ル・ルシエ          
WB:コロナ・ティミル



§TEAM BLUE

CG:高町なのは
CG:フィル・グリード
FA:スバル・ナカジマ 
FA:高町ヴィヴィオ
FB:ルーテシア・アルピーノ
GW:リオ・ヴェズリー 






「フィル、エリオの分もしっかりとしなくちゃね」

「ああ……。フェイト、今回は敵同士だな。だけど、エリオの分もある。全力全開で勝ちにいくからな!!」

「負けないよ、なのは、フィル」

「わたしだって!!」



エリオが、自分から辞退してくれてまで俺を出させてくれたんだ。
みっともない戦いは絶対に出来ない!!


「じゃ、そろそろロッジに戻ろうか。みんな待っていると思うし」

「そうだね。エリオとメガーヌさんが美味しい御飯を作って待ってるし……」

「いや、もう一人いるみたいだぞ」

「「?」」

「さっき、ティアから念話があって、セインがイタズラをして、罰として俺たちの食事係になったらしい……」



さっき、温泉の方から、人影が吹っ飛ばされたのが見えたけど、あれがセインだったというわけだな。


「「あ、あはは……」」

「ということで、行きましょうか。さすがにみんなお腹をすかしてますからね。俺たちが戻らないと、ご飯も始まらないですしね」

「「うん!!」」


ロッジに戻った俺たちを待っていたのは、エプロンをしたセインが一生懸命夕ご飯の支度をしていた姿だった。

ちなみに夕食はセインが相当気合いを入れて作ったため、かなりの量もあり、みんな大満足だったことはいうまでもない。



*    *    *


「ふぅ……。やっと、お風呂でゆっくり出来るよ」


男性は俺とエリオしかいないため、入浴時間が必然的に後の方になってしまうのだ。
エリオは先に入ったので、後は俺だけなのだ。


「さてと、そろそろ出ようかな……」


そう思っていたら、入り口の方からガラガラと扉が開く音がした。


「ちょ、ちょっと待て!? 確か、扉には札を下げたよな!?」


女性陣が入ってこないように、扉には『男子入浴中』の札をかけておいたはず。
こんな所で鉢合わせになったら、間違いなく俺は女性陣にしばかれるぞ!!



「な、何とか外に出ないと!! どっか緊急用の出入り口はないのか!!」


俺は必死で非常口をさがすが、無情にも扉は開かれてしまう―――――。
すると、そこに立っていた女性は―――――。



「フェイト……」

「えへへ♪ フィル、一緒にはいろっか」


俺の奥さんのフェイトだった。
ったく……。心臓が止まるかと思ったぞ。



「まったく……びっくりさせるなよ。マジで誰かが入ってきたのかと思ったぞ……」

「ごめんね。でも、こんな機会じゃないと、一緒に入ってくれないじゃない」

「……それは……そうだけどな」



はっきり言って、恥ずかしいんだよ。
フェイトみたいな綺麗な女性が、一緒の浴室に入ってきて、俺の理性が持つ自信がないんだ。

いくら自分の奥さんと言っても、親しき仲にも礼儀ありというしな。



「でも……。本当にゆっくりできるね。ここは……」

「そうだな……」



フェイトが俺のそばに来て、そっと俺の肩に自分の頭をコトンと預ける。
俺も、フェイトの綺麗な金髪をそっと撫でていた。



「フィル……。明日は敵同士になっちゃたね」

「ああ……。さすがに前回のことが響いているのかな」


前回、俺とフェイトは同じチームで戦ったんだけど、開始早々、俺のワープとフェイトの速攻で、殆ど壊滅状態に追い込んでしまったのだ。

そのため、今回は俺のワープは回数制限がかかってしまい、俺とフェイトも敵同士になってしまったのだ。



「……ワープの使用回数があるのは仕方がないとして、フィル、リミッターはちゃんと外してね」

「……気づいていたんだな」


もしかしたらと思っていたけど、やっぱりフェイトには気づかれていたんだな。
ティアと話しているとき、そんな視線でみていたからな。


「当たり前でしょう。ティアナが気づいてるのに、奥さんの私が気づかない訳ないでしょう」


そう言って、フェイトは俺のおでこをツンとしてきた。


「でも、ティアナには言って、私には言ってくれなかったのは……ひどいよ」


フェイトはぷくっと頬をふくらませて、「私、怒ってるんです」とアピールをしている。
でも、本気で怒っている訳じゃなくて、どちらかといえば、ティアにばかりかまっているってヤキモチみたいな物だ。


「ごめんな……。といっても、向こうも俺の動きで気づいたみたい」

「……本当、ティアナ、フィルのことを見ているよね」



確かにティアは、本当に俺のことを見てくれている。
仕事の時も、普段の時も―――――。

だけど―――――。


「でも……。いつもこうやって、俺の心の支えになってくれるのは……フェイトだから……」

「……うん」



アグスタ事件の後、俺がどうしようかと迷っていたときだって―――――。

最終決戦前、フェイトの力を失って、弱気になっていたときだって―――――。


そして―――――。


ゆりかごで、動けなくなってしまって、必死で俺の看病をして、俺のことをずっと信じてくれたあの時も―――――。



「俺は……フェイトがいてくれるからこそ……俺が、俺でいられるんだ。だから……」


その続きを言おうとしたとき、フェイトが俺を自分の方へ抱き寄せ……。


「……私も……私も同じだよ。フィルがいてくれたからこそ……私は今まで幸せだったんだからね……」

「フェイト……」

「だから、明日は、フィルの全力を受け止めてあげるからね」


そうだ―――――。

フェイトは、こうしていつも俺のことを受け止めてくれた。
だからこそ、俺はこの人を愛し、守りたいと思うんだ。



「……ああ、受け止めてくれ。俺の全てを……な……」

「うん……。でも、今は……」

「……ああ」



今はフェイトのぬくもりを、感じていたい―――――。

だから―――――。

月明かりが照らす中―――――。

俺たちは、互いを感じるために口づけをかわす―――――。

互いが満足するまで……何度も……何度も……。


「……フィル、今日は……いいよね」

「だけど……。いいのか? 明日……きつくなるぞ」

「いいの……。フィルと一つに……なりたいの……」


結局、俺たちは寝室に戻った後も、互いを何度も求め合ってしまい、就寝したのは、丑三つ時を過ぎた頃になってしまった。


そして―――――。


運命の二日目の朝が……やってきた。



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