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〜 Remember my heart 〜
〜 June bride 〜

「これで、ようやく執務官としてやっていけるな」

「そうね。本当に辛かったわよ。この一年……あんたに会えなかったこと……」

「……ティア」

「フィル……」



あたしは、この一年、執務官試験を突破するために、フィルはクロノ提督の元で、あたしはフェイトさんの元で執務官補佐をして、執務官に必要なことを猛勉強した。

その苦労のかいがあって、あたしたちは何とか一発で合格することが出来たのよ。



「フィル、六課解散の日に約束したこと……覚えてる?」

「ああ……俺たちが執務官になったら、一緒にコンビを組むことだろ」

「それじゃない!! もっと……大切なことあったでしょう……」


ねぇ、本当に忘れちゃったの……。
あたしはあの約束だけが、心の支えだったのよ――――。



「忘れてないよ……。大切な約束だもんな」

「ばか……。本当に忘れちゃったと思ったわよ」


からかうのは止めてよね。本当、こいつって人をからかうのが好きなんだから……。


「ごめんな。ちょっとふざけすぎたな……。今度はちゃんというよ。ティア……」


フィルは、さっきとは違って真剣な瞳で……。


「……結婚……しよう」

「……うん」



六課解散の日……。
あの時二人で、約束したことは二つ……。


一つは、一緒にコンビでやっていくこと。


そして、もう一つは……。


――――結婚して、ずっと一緒になる。


それが、フィルとの大切な約束だった。




*    *    *




「それにしても、結婚式をするのも大変なのね」

「ああ、こんなに準備が大変だと思わなかったよ。特に招待客の選別……」

「そうね……」



俺たちは、半年後の六月の結婚式のための準備に、四苦八苦していた。
式場とかは、良いところが取れたので、そう問題じゃないのだけど……。



「こうして、リストを作ってみると、あたし達って、とんでもない知り合いばっかよね」

「そうだよな……。しかも、みんな絶対招待してねって、言われているからな……」



単純にあげられる人だけでも、なのはさん、フェイトさん、はやてさん、そしてフォワードのみんな。
さらに、親代わりとして色々してくれた、レジアスの親父さんとオーリス姉……。



「でも、どうしよう。このメンバーじゃ、絶対全員はそろわないわよね」

「だよな。どうしようか……」



そんなことを考えていたら、通信が入ってきた。



『ご機嫌はいかがかな。フィル、ティアナ』

「親父さん!?」

「おじさん!?」

「親父さん、いったいどうしたんだよ。いきなり通信してきて?」


親父さんの忙しさは半端じゃない。
それこそ秒単位でスケジュールが決まってるのに……。



『いきなりはなかろう。儂はお前達が執務官試験が受かったと聞いて、お祝いの言葉をかけようとしただけなんだがな……』

「あ、ありがとう。親父さん……わざわざ」

「本当にすみません。わざわざ……」

『なあに、二人とも儂にとって、子供みたいなものだ。子供のことを心配しない親なんて………いないだろ』



親父さんの言葉は、本当に嬉しかった。
俺たちの事を、本当に思ってくれたんだ――――。



『そういえば、お前達。半年後、結婚するんだったな。どうするんだ、メンバー集めは?』

「その事なんだけど……どうしようかと思って」

『と、言うと?』

「俺の知り合いって、かなり有名人が多いから、みんなの都合を合わせるのが上手くいかないんだ」



実際、今回の日取りを決めるのだって、かなり難航した。
六課解散前から、執務官試験に合格したら、その年の六月に結婚することは、みんなに言ってあったから、六課メンバーは何とかなるんだけど……。



『フィル、ティアナ、その心配はないわよ』

「オーリス姉!?」

「姉さん!?」

『あなたたちが、執務官試験を一発で受かることは信じていたから、スケジュールを調整するときに、六月のこの日は空けられるようにしてあるわよ』



そんなこと言っているけど、レジアスの親父さんは今では、地上の統括をしている重要人物だ。
その人のスケジュールに、穴を空けるのはかなり困難なはずなのに……。



『そういうことだ。だから、儂らも是非、お前達の結婚式に出させてもらうぞ』

『フィル、ティアナ、結婚式の前に、一回こちらに顔見せに来てね。色々語り合いたいしね』

「はい、フィルと二人で必ず伺います!!」

『楽しみにしてるわ。その時は事前に連絡してね。どんなことしても暇をつくるから……』



そう言って、二人からの通信は切れた。
親父さん……オーリス姉……。

本当に……ありがとう。



*    *    *


三月某日


「フィル、式の参加者リストは何とかまとまったけど、式での料理とかはどうするの?」

「そうだな……」



六月の式まであと三ヶ月。
俺たちは、殆どのことは決まっていたけど、最後の問題として、式場で出す料理とウェディングケーキのことで悩んでいた。
式場はかなり雰囲気の良い所なんだけど、料理の方が普通で、これをどうにかしたかったのだ。



「一応、式の前日に俺が、料理関係を用意しようと思っているんだけど……」

「確かにあんたの料理なら、みんなに喜んでもらえると思うけど、正直あんたの負担が、かなりかかって来ちゃうわよ……」

「でも、一生に一度だからな……。これで手抜きをしたくはないんだよな……」

「そうよね……あれ? 通信が入ったわね」



通信を開いてみると、それははやてさんからだった。



『フィル、ティアナ、久しぶりやな』

「はやてさん!!」

「お久しぶりです。お元気でしたか」

『フィル、相変わらず堅いな。でも、そっちも変わっていないようで何よりや。遅れてしまったけど、二人とも執務官合格おめでとう』

「「ありがとうございます!!」」

『それとなのはちゃん達から聞いたで。フィル、結婚式の料理で頭悩ませているらしいな……』



実は、結婚式のことで、なのはさんに相談にして、その時に式場で良いところがあると、なのはさんが見つけてきてくれたのだ。



『あそこは、確かにロケーションは最高なんやけど、料理に関しては普通レベルやしな……』

「そうなんですよね……。それでフィルが作るって言ってるんですよ。でも、そうなると、かなり負担になってしまうんです……」

『そんなことだと思ってたわ。そこでや!!』


はやてさんがポンと手を叩き――――。


『今回の結婚式の料理、私に任せてもらいないやろうか……』

「「えっ……?」」

『一生に一度の大切な事や。特にフィルにはかなり助けてもらったし、ここで少しでも恩返しをさせてほしいんや』

「だけど、はやてさんもかなり忙しいのに……申し訳ないです」


捜査官の任務は執務官以上に忙しい。
ましてや、はやてさんは司令官を務めることもある。

忙しさは半端じゃない――――。



『そんなこと心配しなくても平気や。私らの有給はかなり余っているんやで。こんな時に使わなくて、いつ使うというんや。二人は余計な心配はせず、思い出に残る式を挙げてや』

「はやてさん……」

『ほなら、今度会うのは式前日やな。料理の方は任せておいてや!!』



はやてさんは、笑顔で手を振りながら通信を切った。



「フィル……あたし達って本当に、色んな人に支えられていたんだね……」

「ああ……はやてさんになのはさん、そしてオーリス姉……。みんな俺たちの結婚式のために……」

「絶対……良い式にしようね」

「そうだな……」



*    *    *



五月 某日


俺たちはレジアスの親父さん達に、自宅に招待された。
結婚前に、どうしても俺たちと話をしたかったらしい。



「いらっしゃい、フィル、ティアナ」

「お邪魔します。姉さん」

「遠慮しなくて良いわ。さあ、上がって」



俺たちを出迎えてくれたのは、オーリス姉だった。
ティアも、オーリス姉のことは姉さんといって慕っている。

オーリス姉に案内されて、入った部屋には親父さんが待っていた。



「よく来たな。フィル坊、ティアナ嬢ちゃん」

「その呼び方……久しぶりですね。親父さん」

「まあな。もうお前達は立派な社会人だからな」

「お久しぶりです。レジアスおじさん」

「ティアナ……本当に大きくなったな……」

「はい……おじさんや姉さんが、あたしのことを陰から支えてくれたから、あたしはここまでやってくれたんです」

「そう言ってくれると嬉しい……。そうそう、オーリスがお前と話がしたいから、部屋に来てくれと言っていたぞ。儂もフィルと少し語り合いたいからな」

「分かりました。じゃ、フィル後でね」


そう言ってティアはオーリス姉の部屋に行くことにした。
俺も、親父さんと語り合いたかったからな。



*    *    *



「それにしても……お前も結婚か。しかも、ティアナ嬢ちゃんと」

「ええ……俺が結婚なんてするとは、思ってなかったですけどね」



俺と親父さんは、親父さん秘蔵のブランデーを飲みながら、小さかったときのことや六課に入ってからのこと。



そして――――。


未来で経験してきたことなどを話していた。



「フィルよ……お前は未来で、ティアナ嬢ちゃんを失ってから、自分は人を好きになってはいけない。そう思っていたな」

「はい……でも、ティアがそれを取っ払ってくれたんです。ティアの一途な思いが……」

「あの子は一度思ったら、それに全力を出すからな。スバル嬢ちゃんとまた違った一途さがある……」

「ええ……本当に……」

「フィル……あの子を幸せにしてやるのが、お前の役目だ。そして……」


親父さんが俺の肩に手を置き――――。


「儂は、お前にも、幸せになって欲しい。それが儂とオーリスの心からの願いだ。お前達は儂の自慢の息子と娘なんだからな……」

「親父さん……」



俺は親父さんの前で、涙を流していた。
小さいころの俺たちにとって、レジアスの親父さんはたった一人の理解者だった。

その親父さんに、少しでも恩返しをしたかった。


親父さん……。


本当にありがとう……。



*    *    *



「今頃、あの二人かなり飲んでいるわね」

「そうですね……。フィルも久しぶりにおじさんに会ったんですものね」

「ティアナ、あなた、そんなに飲む口だったかしら?」

「普段はそんなに飲みませんよ。でも、あたしも久しぶりに姉さんに会ったんだもの」

「そうね……」



あたしは別室で姉さんとお酒を酌み交わしている。
そこではフィルの話せないことや、オーリス姉さんの昔話をしていた。

昔姉さんは、兄さんと付き合っていた。
本当なら、兄さんと結婚するはずだったんだけど、結婚直前あの事件が起こってしまい、姉さんは今でも独身を貫いている。

本当に兄さんのことが好きだったんだな……。



「ティアナ……」

「はい」

「私は……残念ながらティーダと結ばれることがなかった……」


姉さんの悲しみに満ちた目を見れば、兄さんのことをどれだけ思っていてくれたかよく分かる。


「そんな思いはわたし達だけで良いわ。だから、必ずフィルと幸せになってね。私とティーダの分まで……」

「はい……ありがとう……姉さん……」



兄さん……姉さん……。


あたし、絶対フィルと幸せになるからね……。



*    *    *



六月 結婚式前日


「ほら、そこ!! 材料が違っているよ!! 明日の式まで時間がないんやから、急いでな!!」



結婚式前日、はやてさんが先に会場入りをしていて、そこで会場のスタッフとパーティー用の料理の下準備と特大のウェディングケーキを作っていた。



「フィル、来てたんか!?」

「ええ、どうしても気になりましてね」

「相変わらず心配性やね。でも、それがフィルやもんね……」

「そういうことです」

「ティアナはどうしてる? 宿泊先でしっかり休んでいるか?」

「大丈夫です。体調も万全ですよ」

「そっか……それならええんや。フィルも明日のために、ホテルに戻って休んでや。ここは私の仕事やからな。当日楽しみにしててや♪」



はやてさんの言葉を受け、俺はホテルに戻っていった。
はやてさんは、俺たちのために今一生懸命料理を作ってくれている。

俺たちは、明日の式を良いものにすることが、はやてさんに恩返しをすることになるんだ。



*    *    *



「いよいよ……明日ね」

「ああ……なんか緊張するな」



ホテルに戻ってた俺は、ティアとベッドに座って外の景色を見ていた。
明日のことを考えると、何か眠れなかった。



「そうね……。でも、戦う訳じゃないんだから、もっと肩の力を抜きましょう……ね……」

「そうだな……。ありがとう、ティア」

「だから……」



そう言って、ティアは俺をベッドに押し倒し……。



「今日は、独身最後の夜……なんだから……。いっぱい抱いて欲しいな……」

「ティア、今日は明日のために止めようと思っていたけど、お前から誘ったんだからな。いまさら止めは無しだからな」

「そんなこと……言わないわよ。いっぱい……してね」



俺たちは、キスをしながらお互いの服を脱がし合い……。


俺は、ティアの身体のありとあらゆる所を愛し尽くす。
女性特有の甘い匂いと喘ぎ声が、俺の心を獣に変える。


俺たちは結局、当日の朝まで何度も身体を重ねた。



*    *    *



結婚式 当日


俺とティアは、式場の入り口で受付をしていた。
朝早くから、色んなメンバーが来てくれた。

まず最初に来てくれたのは、スバルとゲンヤさんに引き取られたナンバーズの面子だった。
スバルは俺たちを見るなり――――。


「おめでとう!! ティア、フィル!!」


と大声で泣きながら、俺たちに抱きつこうとしたけど、ギンガさんとチンクがそれを止めてくれたおかげで、衣装を守ることが出来た。


次に来てくれたのは、なのはさんとフェイトさん、そしてヴィヴィオの三人だった。
相変わらず、仲の良いことで手をつないでやってきた。

俺たちも、こんな家族を作っていけたらと思う。

その後も、エリオ達やヴァイス陸曹達も来てくれて、最後にレジアスの親父さんとオーリス姉が来てくれた。



「ええ……ただいまより、フィル・グリードとティアナ・ランスター、両名の結婚式を始めたいと思います。まず最初に、レジアス・ゲイズ様よりご挨拶をお願いいたします」


実は今回の結婚式の司会は、ヴァイス陸曹がしてくれることになった。
本当は式場の人に頼むつもりだったけど、ヴァイス陸曹が俺がやってやると言ってくれたので、遠慮なくお願いすることにしたのだ。


司会の声で親父さんが、壇上に上がり俺たちのためのスピーチをしてくれた。
でも、いつもと違ってすごく緊張していて、マスコミに会見するときと全く違っていた。



「えっと……フィル・グリード君、ティアナ・ランスターさん、ご結婚おめでとうございます。二人には色々話したいことがいっぱいあるのですが、どうにも上手く言えなく……申し訳ない」

「だから、儂からは一言だけ言わせてもらいます。二人とも、お互いのことを信じ、幸せな家庭を作ってください……儂からは以上とさせてもらう」



親父さんのスピーチが終わり、会場のみんなから拍手がおこり、俺たちも嬉しさで涙が出そうになっていた。
言葉は短いものだったけど、本当に親父さんが自分の言葉で話してくれたのはよく分かった。



「レジアス・ゲイズ様、ありがとうございました。続きまして……」



親父さんのスピーチの後、ウェンディとノーヴェが壇上に立った。



「二人とも、今日は本当におめでとっす!! ティアナ、本当に綺麗っすよ!! フィル、この幸せ者♪」

「おい!! もうちょっと真面目に話せ!! ったく……フィル、ティアナ、今日は本当におめでとう」

「ノーヴェ堅いこと言いっこなしっすよ。こういうときは明るくするのが良いんすから♪」

「あほか!! だからといってこんな挨拶の仕方があるか!!」

「はは〜ん、ノーヴェ、あたしに言いたいこと言われて、妬いてるんすね」

「んなわけあるか!!」

「あはははは!!」



この二人がそろって、堅い雰囲気になるとは思っていなかったけど、本当に予想通りとはな。
でも、こういう方が俺たちの結婚式らしいしな……。

その後、収拾が付かなくなりそうだったので、ギンガさんとチンクに止められて、スピーチという名のどつき漫才は終了した。

これ、ビデオに撮っているから、後で見たら、俺たち絶対腹抱えてそうだな……。



「……あ、相変わらずだな……。えっと、仕切り直しまして……」


ヴァイス陸曹が、仕切り直しで次のプログラムに進めたのは、エリオとキャロ、そしてルーテシアのお祝いの歌だった。



「フィルさん、ティアさん、ご結婚おめでとうございます。僕たちは皆さんみたいに、上手く言葉に出来ないと思い、キャロとルーと三人で歌を送ることにしました」

「わたし達も、そんなに上手い訳じゃありませんが……」

「一所懸命練習したので、聞いてね♪」

「曲は……『まぶしくてみえない』です」



曲が流れ始めると、三人は一生懸命歌ってくれた。
それは、三人がこの日のためにいっぱい練習して、覚えて、俺たちのためにしてくれてたというのがすごく伝わった。

曲も友情をテーマにしているもので、エリオ達らしい選曲だと思った。



歌が終わった後は、今日来られなかった人たちの祝電をヴァイス陸曹が読んでくれた。
その中に、ユーノさんとクロノさんのがあったときはびっくりしたけどな……。



「残すところ、誓いの言葉と口づけをするのみとなりましたが、その前に……」

「二人の師匠でもある、高町なのはさんとフェイト・T・ハラオウンさんから、それぞれ一言ずつお願いします」

「「ええっ!!」」



これは、ヴァイス陸曹のサプライズだった。
なのはさんもフェイトさんも急だったので、焦っているけど、でも、二人とも壇上に来てくれた。



「ったく……ヴァイス君、こういう事は先に言っておいてね」

「そうだよ……いきなりでびっくりしたんだからね」

「へへ、すみません。でも、こいつらにお祝いの言葉をかけてやってください。きっと二人とも喜びますから……」

「そうだね……。えっと、フィル、ティアナ、結婚おめでとう。いきなりだったから、ちゃんとしたコメントは用意してないから、わたしとフェイトちゃんがそれぞれに一言ずつ贈るね」

「まず、わたしからね。わたしはティアナに贈らせてもらうね。ティアナ、六課の時からみんなのまとめ役として、そしてフィルの支えとして頑張ってきたね。これから二人は色んな困難にぶつかると思います。でも、一人でなく、二人でなら必ず乗り越えられると信じてます」

「二人で駄目なときは、わたしやみんなに頼ってください。決して抱え込まないでくださいね。そしてティアナ、あなたはわたしの大事な一番弟子なんだから、これからも頑張ってね♪」

「なのはさん……はい……」



なのはさんの言葉に、ティアは涙をポロポロ流していた。
嬉しさから来ていたので、押さえることはしなかった。



「じゃ、私からはフィルに贈らせてもらうね。フィル、今日は本当におめでとう。ここにいるメンバーはフィルのことを知っているから、未来のこと言わせてもらうね。フィルは未来であんな辛いことがあって、自分の幸せは二の次にしていたね……」

「でも、ティアナのおかげで、やっと自分の幸せを考えてくれた。フィル、自分が幸せになってはいけないなんて、二度と考えないでね。フィルにはティアナという、大切なパートナーがいるんだからね。なのはも言ったけど、二人には私達が付いているんだから、困ったときは遠慮なく相談してね」

「フィル……幸せにね……」

「フェイトさん……」



俺もティアと同様、フェイトさんの言葉で嬉しくなってしまい、声を殺しながらだけど、涙があふれてきた。
俺たちは、本当にいい人達に恵まれているんだな……。



「なのはさん、フェイトさん、ありがとうございました。そして、今日のメインイベント、二人の誓いの儀式です」



俺とティアは、神父の前に来て、誓いの言葉をたて……。



「汝、フィル・グリード、汝はいかなる時もティアナ・ランスターの事を愛し続けることを誓いますか?」

「もちろん、誓います」

「汝、ティアナ・ランスター、汝はいかなる時もフィル・グリードの事を愛し続けることを誓いますか?」

「はい……誓います」

「では、誓いの口づけを……」




俺とティアは、みんなの見守る中……。


誓いの口づけを交わした……。



その後、みんなで記念撮影をしたんだけど、カメラのタイマーをセットしに行ったウェンディが、お約束のボケをしてしまい、結局二回取り直してしまった。



そして……。



「それっ!!」



ブーケトスをするティアは、幸せにあふれた表情をしていた。
そんな、ティアを見て、みんな笑顔で祝福してくれていた。




これから俺たちは、様々な困難にあうと思う。


でも、なのはさん達の言葉にあったように、一人で駄目でも、二人でなら乗り越えられる……。


それが、夫婦というものだから……。


ティア――――。


一緒に、幸せになろうな。





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