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クリスマスプレゼント
 どうもこの時期は誰も彼もが浮かれている。
 商店街はクリスマス商戦に躍起になって飾り付け音楽を鳴らし、家に帰れば玄関にでっかいクリスマスツリーが飾られ、親父は毎日赤いサンタ帽子を被って唄っている。一人でやってるぶんには構わないのだが、一緒にやれと絡んでくるのがどっと疲れる。
 それでなくてもこの雰囲気はあんまり好きでは無いが、今年はなんか世間の波にのってやっても悪く無い気がした。
『あいつは何をプレゼントすれば喜ぶだろう』
 どうせならとびきりの笑顔にさせてみたい。
 手に取った小物を似合わないし、邪魔だと言いそうだとディスプレイに戻した。
 趣味の違う彼に何が喜ばれるか・・・・。かなりの難題だ。
 衣料品は手作りをする。かといって、指輪だとかチェーンだとか興味も無さそうだ。
 財布、鞄、ペン、筆箱、ベルト・・・・・。予算に限りがあるから高価なものは買えないし。
「ぬぉ・・・・・・お」
 同じ事を何十分と考えていると頭も痛くなる。目に入る商品がどれも同じに見えて、どれもどうなのかわからない。この、チカチカ光る発光ダイオードも悪い!!段々と苛つきが増していく。
「何かお探しですか?」
「え・・・いや、はい、ども」
「彼女?」
「いや・・・違っ」
「最近こんなのが流行っているみたいよ、どうかしら?」
 店員の姉さんが出して来たのは可愛いリングで、彼女へのプレゼントだと誤解されているのを男だと訂正するのも疲れたのでその店を後にした。
 これで何件目だろう。店員が声をかけてくると必ず『彼女か』と聞かれる。訂正しようにも彼氏と言うのは問題発言で、大切な人と言ったら『彼女』に繋がりかねない。友達
・・・でもない。
 そういえば石田と俺の関係って、何て言うのだろうか。
 恋人関係?そんな甘いもんじゃ無いから、なんか違う気もする。
 大事にしたい人?したいし、して欲しい。
 恋愛相互関係?あ、なんかこれがしっくりくるな。
 門限が近くなり家に向う道で、マフラーで隠した口は思い付いた言葉に自然に弛んだ。
 後日。
「サトウ家の食卓でやってたんだ」
 と空のペットボトル2本とフリース無地の生地を二色紙袋に詰めてプレゼントした。ちなみに一本は自分用だ。
「・・・・・・・何?これ」
「一見ゴミにしか見えないそれは簡単湯たんぽだ。ペットボトルに湯を入れるだろ、で、その布をまいて布団に入れたらアンカにもなるし、こたつの中に入れたら電気を入れなくてもほかほかだ。ちなみに湯は湯沸かし器で出る熱い湯でも十分らしい」
「へえ・・・やってみるよありがとう」
次の日、「黒崎!湯たんぽ良かったよありがとう」と、とびきりの笑顔が見れた。
 のは良いが、なんか、これでいいのかって気もする。・・・・というか、こいつ庶民通り越して貧・・・いや止めよう。喜んでんだからいいのか・・・・な。うん、そういう事だ、そういう事にしよう。





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061208
簡単湯たんぽ(笑)これ冬場は職場で大流行します。寝る前に布団に入れて、多少温くはなってますが、朝まで十分もつんですよ。たぶん、雨竜はこのお湯で顔を洗ったりするんでしょうね・・・・あああ・・・・ちょっと可哀想になってきました。でもそこが好き。

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あきゅろす。
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