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ミツバチ
伸ばした体に当たる太陽がぽかぽかと暖かい。そして、たまに吹く優しい風はまだ冷たくて、余りの気持ち良さに眠気を誘われ、我慢しきれずに一護は大きな欠伸をした。
『はしたない』
と、咎める声が聞こえた気がしたが、言うであろう本人は一護の肩にもたれ掛かり束の間の眠りに静かにおち、その幻聴に思わず笑ってしまった。
夜明け前。
出現した虚に手間取り、二人して倒したのは夜も明け人々が活動を始める少し前。慌ててそれぞれの家に帰って身支度を整え登校すれば、本鈴には間に合ったが予鈴はとうに過ぎていた。
寝不足と疲れで一護は授業中に何度か居眠りをしたが、虚に手間取った一護を助けに来たもう一人、雨竜は眠いながらも目を擦り、目頭を押さえながら授業を眠らずに受け、昼休みと同時に人気の無い場所に一護を連れ出し『君のせいだ』と午後に備えて仮眠をとるから時間がくれば起こせと有無を言わさず寝てしまった。
「俺も寝たいんだけどな…」
寝息と言うのは聞くだけで眠りを誘う。
「寝みぃ……」
寝た事で高くなった体温が寄りかかる肩から伝わり、その心地良さについ身を預けたくなってしまう。
「あと15分か…」
左手にした腕時計にまだ先は長いとため息をついた時、目の前を蝶がふわりと横切った。
「へ?もんしろ…ちょう?」
 上下左右にふわりふわりと揺れ飛ぶ紋白蝶は一護の頭上を飛び越え、迷い飛び、すっと音もなく眠る雨竜の手の甲にとまった。
「あ……」
蝶は蜜が欲しいのか口元をもぞもぞと動かしている。雨竜は気付かずに未だ眠りその白い手はピクリとも動かなかった。
安心しきり、棘の抜け落ちた寝顔は元々の綺麗な顔立ちを更に優しく魅せ、甘い色香を漂わせている。白い頬と薄桃色の唇が花弁を連想させた。


その内の蜜の味を一護は知っている。


「キス、してぇ…」

芳醇な蜜の香りに吸い寄せられる。
それは蝶や蜂の様に。






※※※※※※※※※※※※※

ミツバチな一護の話で、『花うりゅ祭』に投稿させて貰った分です。
話の内容は同じで落ちが違う物を拍手御礼でアップしていました。

あっちはエ口バチだったので公共の場に出すのは…と自重しました(笑)

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あきゅろす。
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